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腕の中ですやすやと眠る天使を撫でながら、エルヴィドは一人で思い悩んだ。
それはシエルをどうしてやるかについてだ。
シエルの体か、それとも気持ち、どちらを優先すればシエルは幸せになれるのだろうか。
シエルの体や体調を優先するなら絶対にアルベールに返すわけにはいかない。
今までのアルベールの行いを考えると、今回自分がシエルを連れ去ったことで罰を受けるのはシエルなのではないか。
エルヴィドにはアルベールがどんな非道な行為をしてくるかは予想がつかないのだ。
しかし、シエルの気持ちを優先するならば、シエルがアルベールといる方が幸せと言うならば、シエルを返してやった方がいいんじゃないかとも思っていた。
シエルは盲目にアルベールを愛し、そしてエルヴィドは、アルベールもシエルを好きなのではないかと思っている。
何が原因でそんなに捻くれたのかは分からないが、たかが一人の奴隷のために部屋を用意したりだとか、そんな特別扱いはしないはずだ。
ましてや10億も払い、今まで城の者の性欲処理としてしか取らなかった性奴隷を自分のために買ったのだ。
アルベールにも何かしらの感情があるはずだと踏んでいた。
シエルの恋を実らせてやるにも返してやるべきなのだろうか……。
エルヴィドはシエルのために必死に悩んだ。
ふと顔を上げると、ベッドサイドに置かれたシエルの母親の写真があった。
それを見て、この一週間でシエルに聞かれた一つの言葉が思い出された。
『エルはどうしてそんなに僕に優しくしてくれるの?』
だってそんなの…………。
「シエル………、ごめんね。君に一つだけ嘘をついた。」
エルヴィドは自嘲するように微笑を浮かべ、そっと目を閉じ、過去の記憶を思い出した。
───
次のページから少しエルヴィド視点の回想シーン入ります
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