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特別だから
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小日向の部屋に着いた俺達は、リビングのソファに少し距離を空けて座っていた。
「…お前最初言ってたよな、俺なんかといたらお前らも言われるって」
「……」
「それって他の奴が好き勝手言ってるの知ってるってことだよな」
「…まぁな」
「悔しくないのかよ」
自分の事なんも知らない奴にすき放題言われて何とも思わないわけないだろ。
俺は嫌だしムカつくよ。
「別に…気にしてない」
「そんなのただの強がりだろ!」
俺は声を荒げてぐしゃりとズボンを握りしめた。
「昼ん時だってそうだよ!橋本がお前の事言ってたの聞こえたんだろ?なのになんで謝るんだよ!」
キッと小日向を見れば小日向は俯いたままだった。
「なんでって…俺のせいでお前まで…」
「違うだろっ!」
胸ぐらを掴んでこっちに引き寄せれば戸惑った表情の
小日向と目が合った。
「別になんも悪い事してねーだろ!むしろ怒っていいとこだろ!」
「俺のせいでお前が言われるのは嫌なんだよ…」
「…だったら俺はもっと嫌だ」
まだ全然小日向の事知らないけど、すげー不器用で感情出すのが苦手で勘違いされやすくて、でもその分優しくていつだって自分より他人の心配ばっかして。
そんなん損ばっかじゃん…。
「小日向がそうやって平気なフリしてる方がもっと嫌なんだよっ…」
「柏木…」
胸ぐらを掴んでいた手を取られそのまま引き寄せられて抱きしめられた。
「柏木がそばにいてくれればそれでいいよ」
「…ばーか」
もし、陸と奏の悪口を言われたとしてもきっと同じように怒ったと思う。
けど、こうして俺を抱きしめてる手、身体から伝わる体温、優しい声と表情も、俺にとって全部が特別で大事だから、やっぱ嫌なもんは嫌だ。
「辛い時とか言えよな?その…ま、守るから」
「…柏木もな」
そう言って小日向は触れるだけのキスをして小さく微笑んだ。
あぁ好きだな、こういう時にふと思う。
気づけば心のモヤモヤも消えていて、安心感ってやつがあるんだろうなきっと。
俺もそれぐらい強くなるから、だからずっとそばにいてほしい。
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