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謝りたい
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俯いたまま拳を握りしめている橋本に俺と小日向は顔を見合わせた。
「…小日向」
俯いたままなにか言おうとしている橋本を小日向は待つように黙っていた。
しばらく黙っておいた方がいい、なんとなくそう思って俺は二人のやりとりを黙って見ていた。
「ケガは、どうなんだよ」
「もう大丈夫だ」
「そっか…」
すぐに会話が途切れて微妙な空気が流れる。
「なんでさっき俺の事庇ったんだよ」
「…別に、クラスメイトだから」
「なんだよそれ…そのクラスメイトがお前の事悪く言ってたんだぞ?!普通ムカつくとか思うだろ!」
おいやめろよとか違うだろとか森と田崎が言ってるのを無視して橋本は小日向を睨みつけた。
でも怒りというよりは困惑に近いような、そんな目をしていた。
「それは俺が悪いからなんとも思わない」
「お前…」
「けど」小日向はそう言って真っ直ぐ橋本を見た。
「もしあの時お前の腕が柏木に当たってたら俺はお前を殴ってた」
「…うぇ?!俺っ?!」
いきなり俺の名前が出てきて思わず気の抜けた声が出てしまった。
殴っちゃダメだろとか思いながらも、それは俺の為に怒ってくれてるのかと思うとなんだか胸の奥がむず痒いというか、嬉しいと思ってしまった。
「柏木、あん時はほんとごめん…」
「え?いやいや俺は気にしてないし気にすんなよ」
「ありがと…えっと、それで…」
橋本は小日向の方を見ては目を逸らしてを繰り返しながらもごもごと何かを言おうとしていた。
「あぁもう謝るんだろ!」
「橋本さぁ小日向のケガずっと気にしててさっきからずっとこんな調子でさ~」
「ちょっ、お前ら言うなよ!」
痺れを切らしたのか森と田崎がケラケラと笑いながら橋本の背中をバシバシと叩いていた。
橋本は言おうとしている事を言われて恥ずかしそうにしていて、橋本ってこういうとこ不器用だったりするんだなと思った。
…橋本と小日向ってそういう不器用なとこ似てんな。
ていうのはとりあえず心の中にしまっといた。
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