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そして未だに、先輩たちが口を開け唖然としているのは、この際どーでもいい。いや、本当に。
『それで…?僕は何のために、ここに連れてこられたんですか?まさか、“このため”だけって事はないですよね…?』
“このため”……僕の名前を知りたかったのと、先輩たちの自己紹介を聞くため…だけじゃないよね?
僕の名前なんて、クラスメート…いや先生に聞けば分かることだし、湊さん達の名前だって噂とかで耳に入りそうだし。
だって、有名っぽいし(僕は知らないけど)、先生も口出しできないくらいっぽいし。
「ん?そのためだけに決まってるでしょ♪」
「それ以外に何かある?♪」
何が楽しいのか、笑顔で答える…伊織さんと伊澄さん。
『…は?本当に“それだけ”のために、SHR前に連れて行かれた訳…?ありえない……』
思わず口から零れ出た言葉に敬語が抜けてしまっていたけれど、気にしないことにする。
…この人達、バカなの?何なの?有り得ない!!
怒りがふつふつと湧き出てくる。
だって、“このため”だけに、僕が目指していた…
“平和で平凡で地味な学校生活”
…が壊されたのだから。
『…教室に帰ります。』
「「え?」」
幾重にも合わさった声が聞こえたけれど、今僕は怒ってるんだ。気にしていられない!
『…用事は終わったんでしょう?入学早々、無断欠席したくないので帰りますね。』
ちゃんと理由を言った僕を褒めて欲しい!
怒りを理性で押さえつけているんだから。
扉をガラッと開けて、一歩外に出たときに聞こえた声。
「外見だけじゃなくて、中身も平凡かよ」
そんな言葉に後ろを振り返り、満面の笑みで(←目は笑ってない)、
『…平凡ですけど、何か?』
と言って、勢いよく扉を閉めちゃいました。
バァン!!…と凄い音がして、自分自身、吃驚した。
ま、いいよ。もう会うことはないだろうし!
綺麗サッパリ、先輩たちの事を忘れるので、僕の事も忘れてね♪
それにしても、“平凡”って、何て素敵な言葉だろうか!!
なんて事を考えながら、足取り軽く、その場を立ち去りましたとさ!
ふふふっ♪
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