アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
3
-
俺が何も言えないままいると、羽白が小さな声で続けた。
「俺の親、割と有名な医者だったから最初は皆喜んで引き取ってくれてたんだけど。俺は勉強も何もかも平凡で真ん中…より少し下くらいだったから。皆すぐに見放した…?んだ。失敗作は人間様と一緒に生きてきゃいけないらしい。」
「…わかった。ごめん、多分聞いてほしくなかった話題だったな。」
「…?」
なんでだ?
という顔でこっちを見る羽白に俺まで?マークが浮かんでしまう。
いや、普通触れられたくない話題だろ。
そうか…こいつ。
「お前さ。自分が被害者だって理解してないな…?」
「被害者?」
「あー…あのな、普通そういう事言われたら怒っていいんだよ。勉強できないくらいで…失敗作なんて言われたらおかしいんだよ。」
「でも、ずっと…」
「羽白。お前にとっての幸せってなんだ?」
「幸せ?」
黙り込んでしまう。
普通の奴なら好物を食べているときやら、友達といる時とかすぐに答えが出てくるものなのに。
羽白の目が真っ黒で光が見えない。
怖い、悲しい。
「…羽白?」
「わからない。何も、思いつかない。」
「そっか、幸せがわかんない奴なんているんだなぁ。…な、一緒に探そう。」
「一緒に?」
「羽白があー幸せだーって思えるようになるために全力で手伝ってやるから。だから、絶対に見つけろよ?」
「…わかった、ありがとう。森宮。」
ふわ、と笑う笑顔に胸が少し苦しくなる。
…なんだ。これ。
なんにしても真っ黒な目をしてるよりも笑ってる方がよっぽどいい。
「そうだ、森宮にとっての幸せって何…?」
幸せの模範解答なんてない。
わかりやすく わかりやすく
「…そりゃ、購買の焼きそばパンを買えた時だろ。」
「ふっ、…なにそれ。」
嘘をついた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
21 / 426