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脳がガンガンと揺れる。
もう、何がどうなっているのかわからない。
わかるのはただ体中が痛いということだけでアイツが今どこにいるのかすら理解することは出来ないんだ。
「はい、ちーず。」
「……ぁ…、…」
「最近の携帯の画質すごいよね。ばっちり。これ、馬鹿に送ってあげよっか。」
「……?」
「馬鹿?馬鹿はね、夏希の事だよ。人間のクズね、ふふ。」
何を話しているのか上手く聞き取れない。
おまけに喉が枯れて声が出せない。
視界がぼやけて見えない。
俺、生きてるのかな。
「さ、飽きたし帰ろうかな。拘束取っといてあげたからね。キミの事は今日からゴミって呼んであげるね、人間以下だよ。生ゴミ生ゴミ。」
「は…、ぃ……」
「うん。聞き分けのいいゴミは好きだよ。またいつか暇になったら遊びに来るね。ちゃんと来たら迎えろよ、いるってわかるから。」
最後に「またね。」と言い残してデコを弾かれる。
遠くでパタンと戸が閉じる音がし、やっと開放されたのだと胸をなで下ろす。
痛みよりも苦しさよりも孤独の方がひどかった。
あぁ、どうしてこうなってしまったんだろう。
腫れた頬を片手でおさえ、そのまま目を閉じた。
明日になったら何もかも元通りになっていればいいのに。
朝起きたら温かいご飯があって、母親が起こしに来てくれて。
誰かに愛されて、友達がいて。
いい事をしたら褒められて。
そんな当たり前の幸せに 1度でいいから触れてみたかった。
「…幸せって、何、……」
購買の焼きそばパンが買えただけで幸せになれるなら、俺は生涯をそれに捧げたっていい。
本当にそれが幸せなら。
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