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好きな人。
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幼馴染み(男)に恋人が出来た。
いや、以前からその事は知っていたし、むしろそれ自体はとても喜ばしいことなのだが…
「彼氏かよ…」
そう。ヤツ、日向 明日香は男の…あろうことか高校生に手を出していた。
俺は今あまりの衝撃に一周回って落ち着いてしまっている。
……いや、別に悪いことではない。
ただ俺は明日香が、彼らが心配なのだ。
男同士なんてこの先きっと禄なことがないだろう。
偏見だって未だに多く残っているだろうし、ましてや相手の彼方君は高校生ときた。
彼の将来までも潰しかねないことだ。
そこまで考えてふと、二人の言葉が過った。
ーー『ただ…、好き…だから、出来ることなら一緒にいたい。』
『……………幸せだよ。今も、今までも。
きっと…いや、これからも、絶対に。』ーー
二人の真剣な顔が頭に浮かぶ。
(そんなこと言われたら、俺からはもう何も言えないよ…。)
これから二人には辛いことがたくさんあるだろう。
それでも、彼らならどんなことがあっても平気かなと思えてしまったのだから、仕様がない。
「はぁ……あ~あ、羨ましいな~アイツ…」
明日香の家からの帰り道、一人車の中で思わずそんな言葉がこぼれ落ちる。
ーー昔、明日香にお前は恋人を作らないのかと聞かれたことがある。
俺だって人並みには欲しい。
女の子を見れば可愛いと思うし、街を歩いていてカップルなんかとすれ違えば羨ましく思う。
エッチだってしたい。
それに今までいいなぁと思う子は居た。
居たが、そう思うだけ。
いくら女の子と良い感じになっても、そういう雰囲気になっても、結局は何も起こらずに終わる。
(まぁ俺が終わらせてるんだけど。)
自覚はある。原因は俺だ。
ずるずると過去をいつまでも引きずるのはよくない。
今にちゃんと向き合わないのは相手にも失礼だ。
わかってはいる。
「けどなぁ~…どうしても…ダメなんだよ…」
忘れられない。忘れられる訳がない。
好きだったんだ。
いいや…きっと今でも、俺は。
だからこうしていつまでも彼女の思い出に縋っては、現実に目を瞑る。
(いい加減、吹っ切らなきゃな…。)
開いた車の窓からは、冷たい夜風が吹き込んでフルリと体が震えた。
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