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再会。②
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「あぁやって言っておけばどっか行ってくれるかなって。本当は捕まえた方が良いのかもしれないけどね。」
「あぁ、なるほど。」
逃がしちゃってごめんねと言えば、そんな!全然!!と少年は赤い頭と両の掌を勢いよく横に振った。
「本当に助かりました、俺、いつも馬鹿正直に言い返しちゃうから。お兄さん頭いいですね!」
にかっと効果音が付きそうな笑顔にチラリと血のついた八重歯が覗いた。
些か心許ない月明かりの下、身長差のせいで彼がこちらを見上げる様な形になり、細められた琥珀色の瞳が僅かな光を反射してキラキラと瞬く。
その少年らしい幼い笑顔と赤黒い液体がなんともアンバランスで、知らず知らず眉間に皺が寄った。
「…それ、早く手当てした方がいい。腫れてしまうよ。」
思わず手が伸びて少年の頬に滲んだ血を親指で拭ってやると、拭われた本人は忘れていたのか、一瞬の間キョトンとした後困ったように眉を下げた。
「あー…そうだった、消毒とか家にあったかな…?」
恐らく独り言のようなつもりで呟かれた言葉により一層眉をしかめ、俺は取り敢えずと彼に声をかけた。
「コンビニである程度買えるだろうから寄って帰ろうか。ついでに手当てもしよう、その後に家まで送るよ。」
「え、いやあの、」
「1番近いのは君の職場かな?ちょっと戻るけど、早く冷やした方がいい。」
や、でも…と戸惑う少年を無視して、彼の腕をやんわりと、しかししっかりとした強さで引いて俺は今来た道を引き返した。
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