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…初めてだった。
他人事でこんなに余裕を欠いたのは。
恋愛など、ゲーム感覚だった。
落とすか落とされるか、逃げるか追うかの駆け引きのゲーム。
アイツが他にどう好かれていようが関係がない。必ず落とす。
それくらいの自信があった。
何故なら俺は、今まで負けた事がない。
どんな賭け事でも、知略を巡らせレートを掌握してさえいれば、時の運も味方につけられる。
今は気のない振りをしている颯都も、次第に俺に惹かれていくに違いない。
…そう、思っていた。
だが、アイツといる時の颯都を見た時…頭を殴られたような感覚に陥った。
俺が持っていた自信や余裕が一気に削がれ、説明のつかない感情が膨れ上がり……
気付けば、無理矢理迫って颯都を組強いていた。
快感に飲まれるか飲まれないかの瀬戸際でせめぎ合っている表情。
それは、今まで見てきたどんな表情より誘われるものがあった。
…そうだ。
アイツは知らないだろう。
当然だ。
颯都の身体に快感を教え込んだのは、俺なのだから。
「……ッ…」
悔しげに唇を噛み締め声を出すまいとして、睨み上げる強い目線や。
「……あ!止め…っ!」
亀頭を指でグリグリと刺激した時、快感に身震いしながらも必死に抵抗する姿も。
濡れた艶やかな声も。しなやかな筋肉のついた身体も。
少なくとも、今この時は俺のモノだ。俺だけの。
アイツを見る眼とは違えど、颯都の眼は俺を映しているのだから。
考え事をしながら刺激を送り続けていると。
……一瞬で、色が変わっている。
颯都の顎に手を添え、赤い目を覗き込んだ。
「…お前の目の色は、どういう時に変わるんだ?」
「は?……ッ、関係無いだろ…!」
少し驚いたような間があった。
どうやら自覚するものではないらしい。
「…好きだな」
「……は?」
「その色も。よく似合う」
俺の好きな色と同じだしな。
「…生憎、俺は赤は大っ嫌いなんだよ。お前と一緒にするな」
ああそうだ。
お前はいつも、俺を拒絶する。
怒りとも悲しみとも言えない、複雑な感情が渦巻いた。
それが何とも説明のつかないまま、局所に陰茎を突き入れた。
「う、あぁッ」
相変わらず、イイ声で鳴くな。
「…俺の気の済むまで、鳴け」
「あ…ッ!?…く……!」
腰を突き動かし、中を犯す。
何度欲望を吐き出しても、どこか満たされなかった。
気を失った颯都の額に唇を落とす。
欲しいモノは何だって手にしてきた。
一度…手に入らなかった時もあったが。
俺が手に入れたいモノ…欲しいモノは、何だ?
「…い、起きろ」
…アイツの声。
眠りの中、心地よく響く。
それがとても……幸福だった。
たったそれだけの事柄で、不思議な程満たされる。
静かに目を開ける。
縛られたままの颯都が早く解けとばかりに睨んできた。
「…颯都、結婚式の日取りだが…」
仕方なく解いてやりながら真剣な相談を持ち掛ける。
そこで俺の意識は途切れた。
(お前の事が何も分からなくても)
(俺は、お前を)
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