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target6-4.誤解
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璃空という追っ手から逃れる為に、女装姿の颯都は悠希の手を引いて全速力で走り続けていた。
「…おいッ!!どこまで行くんだよ!?つーかお前誰なんだよ!!?」
「兎に角走れ!説明は後だ!!」
「!?……お前、その声…」
注目を集めながらも人混みの中をどうにか走り抜け、人気のない場所まで避難してきた。
手を離すと、顔を赤らめた悠希が震える指で颯都を指差す。
「お、お前…五十嵐、か…!?な、なんでそんな格好…!」
信じられない、という表情の悠希。
俺だって信じられない。
というか信じたくない。
やり場のない羞恥心をなんとか堪え、改めて向き合う。
「…生徒会の奴らに仕組まれたんだ。俺の服だけこんなのが用意されてた」
「…マ、マジか…!?ホントに五十嵐なんだな?」
「何度も聞くなよ…、悪かったな、見苦しいモノ見せて」
熱くなった顔に素知らぬ振りで、颯都が横を向く。
その機を逃さず、目を見開いた悠希が颯都の表情と姿を一瞬にして目の奥に焼き付けた。
「…なぁ、悪いんだが…今日だけお前の制服貸してくれないか?」
困った事に、颯都の持ち物は全て教室にある。
まさかこういう事態になるとは予測出来ず、カードキーも携帯も制服のポケットの中だ。
「オレはいいけどよ、お前は今の時間帯の担当なんだろ?いいのか?」
「ウエイターなら未だしも、あんな見世物になるのはもう御免だ」
先程までの地獄を思い出しうんざりした表情の颯都の肩を、悠希が軽く叩く。
「じゃあ、行くぞ」
―――
――――…
――――――――……
悠希の部屋は3階の311号室。
部屋の作りは1LDKといった所で、広くはない部屋の端には二段ベットが置かれている。
共同の相部屋らしいが、まるで個人的スペースのない部屋だ。
「…ほらよ」
悠希はクローゼットから取り出した夏用の制服予備をハンガーごと颯都に渡した。
「サンキュ」
受け取ると、早速ボタンを外し始めた颯都に狼狽える。
「ちょちょちょ…っ、ちょっと待て!」
「…は?」
ボタンを外し首筋を露出した状態で動きを止める。
いやいやいやッ!
ヤベーから!その状態でオレを見んな!!
「おま…っ、なんで目の前で着替えてんだよ!」
「何だよその反応。童貞か」
「ちげーわッ!…だからっ、着替えんなって言ってんだろ!!」
変な突っ込みをして何食わぬ顔で着替えに戻る颯都を諌める為、悠希は両手を掴んで着替えを阻止する。
その時、ドアロックを解除される小さな音がした事に騒ぐ二人は気付かなかった。
入ってきた人物が何気なく廊下を進み、部屋に入ると。
襟元をはだけさせたメイド服の人物が、物凄い形相の不良に手を拘束されている光景が広がっていた。
それはどう見ても、先の行為を連想させる光景で。
鞄が手から滑り、床に落ちる。
その音に反応して二人が同時に顔を向けると、平凡な顔の生徒がポカンと固まってこっちを見ていた。
「し、ししし失礼しましたぁーーッ!!」
瞬時に深く頭を下げて謝罪し、身を翻した生徒に向かって悠希が叫ぶ。
「オイ待てやアァァァァーッ!!!」
「ひぃぃいいっ!?すいません、すいません!!」
逃げる途中で振り向けば凄い迫力の不良が追いかけてきていて、恐怖に竦む足を懸命に動かして逃げる。
しかしあっという間に捕まり、首根っこを掴まれる。
「すいません、すいません!!僕、何にも見てないので…殺さないでくださいっ!!」
パニックで半泣きの生徒に、後方から落ち着いた声が掛かる。
「落ち着け、水木。一先ず説明するから…話を聞いてくれ」
暴れていた拓海が颯都の声を聞いてピタリと止まり、メイド服の姿を見て目を白黒させる。
(え、委員長…?なにこれ、え?え?)
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