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六人目
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「まだアオバが亡くなる前に……僕がしつこい女性に付き合いを求められたことがあって……
それで、アオバに一回だけ愚痴った事があったんです。
"女性不信になりそうだ"って。そしたら、アオバは
"じゃあ男を好きになれば?"って言ったんです。"俺も男が好きだから偏見は持たない"って」
「なるほど」
イルは記憶をたどった。そして見つけた。
「アオバ、それマジ?」
「マジだよ。俺、バイだから」
「え、それ男も女もってことだよね」
「まあ、そういうこと」
「じゃあ、付き合ってる人って……」
「男だよ」
しれっと言った。もう一度言う。この男(アオバ)、しれっと言った。
「え、タバコ吸ってるとか、結構年上とか……」
「うん、男」
「……何か、話し方からすると……付き合ってるって言ったけど、それ……」
「……好きとは、言ってないよ」
「やっぱり……」
「でも、それでもいいよ」
「今でもメールとかするの?」
「するよ。あ、今度会うし」
「マジでか」
イルはそこで記憶を見るのを止めた。
それは、アオバが亡くなるほんの少し前の話だったから。
アオバと、ダイキの、最後から数えた方が早い会話だったから。
「(このお兄さん、これを相談しに来たって事か)」
イルはただ、ロゼッタとダイキの会話を遠くから聞いていた。
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