アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
season #15
-
「昨日の帰りは大丈夫だったの?」
雅範が心配そうに智に駆け寄る。
「うん。大丈夫。今までだって何かあったわけじゃないのに、
みんな心配性なんだよ。」
智は口を尖らせて、ウィンナーを放り込む。
「心配くらいはさせてよ?」
淳一が真剣な目で智を見つめる。
智は、テーブルの下で足を揺らし、下を向く。
そこへ修もやってきた。
智と視線がぶつかる。
慌てて二人は視線を外した。
「どうしたの?何かあった?」
雅範が二人を交互に見る。
「いや……。」
修も下を向いて黙り込む。
それを見ていた和哉が修の肩を掴んで、智の隣に座らせる。
「早く食べないと昼休み、なくなっちゃいますよ?」
「あ、ああ……。」
修は急いで弁当箱を広げていく。
その手を、智は黙って見つめ、フッと視線を外す。
「西沢君!」
和哉に向って手を振りながら、眼鏡をかけた女子生徒が駆け寄ってくる。
「先輩。」
和哉は声のする方に向って、ニコッと笑う。
「今日の部活なんだけど……。」
先輩もニコッと笑って話し掛ける。
「あ、今日なんですけど、部活、休みますね。」
「え~?休むの?」
「はい。すみません。」
またニコッと笑って、先輩を見つめる。
見つめられて、頬を染めた先輩は和哉から目が離せなくなる。
「う…ん……わかった。部長には適当に言っておくから。」
「ありがとうございます。」
何か言いたげにその場を動けない先輩を、5人が黙って見ている。
先輩はそれに気づいて、さらに顔を赤くし、じゃ、と言って帰って行った。
「和哉、今日何かあるの?」
雅範が弁当を再開し、和哉に聞く。
「今日は、智と一緒に帰ろっかなと思って。」
急に振られて智が戸惑うと、和哉がまたニッコリ笑う。
「おいら……部活あるよ?」
「いいの、いいの。今日は智といたい気分なの。」
「部活中は遊べないよ?」
「大丈夫。智の隣でカメラいじってるから。」
和哉が首を傾げてニコッと笑う。
その様子を見ていた修と、和哉の視線が重なる。
和哉はニヤッと笑い、修の視線を退けた。
その日、智が部活に向って階段を上がっていると、和哉が隣に現れた。
「ほんとに部活休むの?」
智が眉を下げる。
「うん。」
和哉が楽しそうに笑う。
「おいらが心配で?」
和哉はクスクス笑って智の肩に手を回す。
「心配は心配ですけど……そんなんじゃないですよ。
今日は智といたいだけ。迷惑?」
「そんなことないけど……。」
「じゃ、いいでしょう?行きましょう。」
和哉は智の腕を取って階段を駆け上がった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
15 / 83