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season #50
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「で、智は嫌だったんだ。」
「うん……。」
智は俯いて口を尖らす。
「なんで嫌だったか……わかる?」
和哉が優しく聞くと、智は思いっきり首を振った。
「そっか……。」
和哉は一瞬遠くを見ると、智に視線を戻す。
「で、どうしたいの?」
「どうって……。」
智は、そう言われて見返した顔をまた伏せる。
「このまま海なんて行ったら、おいら、みんなの裸見れないよ。」
「なるほど……。」
和哉はおもむろにシャツのボタンを外し始めた。
「カズ?」
シャツを脱ぐと、下に着ていたTシャツも脱ぎ、上半身があらわになる。
「カズ!」
智はびっくりして、和哉の体から目を背ける。
けれど、和哉はニコニコしながらシャツとTシャツを振り回す。
「どうよ?」
「どうよって……何が?」
智は視線を外したまま答える。
「私の裸♪」
「見れないよ。」
「見て。」
「見れない。」
「いいから、見て。」
智は、恐る恐る和哉の顔を見ると、ゆっくり視線を下げていく。
顔から首、肩、胸……。
和哉の上半身は白く、薄く、小学生のようだった。
「どうです?」
「……白い。」
和哉がクスクス笑う。
「それから?」
「細いよ。カズ、ちゃんと食べてる?」
智は和哉の肩を掴んで、肉付きを確かめる。
「食べてますよ。ハンバーグは。」
「好き嫌いするからだよ。ちゃんと食べないと大きくならないよ?」
「智が言う?」
「だって、おいら好き嫌いしてないもん。」
二人は顔を見合わせてクスクス笑う。
「私の裸も嫌?」
「え?ん~、……嫌じゃない?」
智が小首を傾げて答える。
「じゃ、次に私がその先輩にガシッと抱きしめられてるの、想像して。」
智は言われるままに想像する。
筋肉質な胸の中で抱きすくめられる和哉……。
「…なんか、エロい。」
「どうして?」
「だって、和哉、女の子みたいになる。先輩の筋肉すごかったんだから。」
智はクスクス笑う。
「じゃ、次は修ちゃんとのを思い出して。」
智は言われるままに昨日のことを思い出す。
先輩の筋肉と、修の筋肉が陽に輝いてた光景。
顔がカァーッと熱くなる。
心臓がドキドキと大きな音を立て始める。
「やっぱり、やだ。」
和哉は智の顔を見て、意地悪く笑う。
「修ちゃんの肌は陽に焼けてた?」
「……うん。」
「筋肉もついてた?」
「……ん。」
「エロかった?」
「……。」
エロかった。
でも、修は女の子になんか見えない。
和哉のとは違う……。
「修ちゃんに触れてるのが自分じゃないのが嫌だった?」
「え……。」
智は顔を上げて和哉を見る。
「……抱きしめたかった?」
「……。」
「抱きしめられたかった?」
「……。」
「わかった?そういうことなんだよ。」
智は顔を歪ませる。
「今までの“好き”は子供でも持てる好き。
でも、智は大人の“好き”になり始めたんだよ。」
「……なんか、おいら、汚い……?」
智の顔が曇っていく。
「バカだね?汚くなんかないでしょ?」
「だって……男同士だよ?」
「それだけ本気ってことだよ。」
和哉はそう言って、智の髪を撫でた。
「本気で好きになった智は……きれいだよ。」
和哉が優しく優しく笑う。
「ほんとに?…やらしい…おいらでいいの?」
「大丈夫。むしろ喜ばしい。」
和哉の笑顔に、智の瞳が潤んで揺れる。
「修君に、嫌って言っちゃった。」
和哉は智の髪を撫で続ける。
「修君……泣きそうな顔してた。」
和哉が優しく抱きしめる。
「謝らないと……。」
「そうだね。」
「ね、カズ?」
「ん?」
「Tシャツくらい着たほうが……。」
「あ……。」
智から体を離すと、和哉は自分の体を見て笑った。
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