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「ね、郁也今日一緒に帰ろ。」
6限まで無事に終え、ほっと息をつく郁也の肩を叩く。
郁也は反射的に振り返り「うん、!」と微笑んだ。
郁也は今日1日で自分が明るくなれた気がした。
奏多といると自然と笑顔になれる。どこか冷めた雰囲気はあるものの奏多の話はどれも面白く、人とあまり会話しない郁也にとっては新鮮で、とても楽しかった。
「あーでも誘っといてなんだけど、俺今日職員室に取りに行くものあってさ、ちょっとまっててくんない?」
「うん、僕今から図書館行こうとしてたし、待ってるね。」
「ふふ、郁也図書館にいそうなキャラよなー。んじゃ俺図書館行くわ。」
ふわっと頭を撫でられて思わず目を細める。
奏多の手は兄ほど大きくはないが、郁也からしてみるとどちらも大きく心地よいものだった。
奏多も目を少し細めて微笑むと長い足をスラスラと動かして教室を出て行った。
まだわずかに生徒は教室に残っていたが、その中でも奏多は特別目立っていた。
目が離せないってこういうことを言うのかな。
奏多が見えなくなった頃、郁也はスクールバッグを持って図書館に向かおうと一歩を踏み出そうとしていた。
その時だった。
「いーくやくーーーん」
肩にのしかかる重み。
心臓が飛び上がった。
さきほどまでの明るい気持ちが一気に転落した。
天国から地獄に落とされたかのような感覚だった。
「俺たちさー今から便所行くんだけどー、いくやくんも付き合ってくんねー??」
ニタニタとした顔がすぐ横に見えた。
圭吾じゃない、誰かわからなかったが、きっと圭吾たちの仲間なんだろう。
気づけば他にもガラの悪い男が4、5人立っていた。
「ぼ、僕、これから用事が…」
「はぁ?!てめぇの用事なんて聞いてないの。ほら行こうぜ?」
郁也が皆しゃべりきる前に1人の男が乱暴に郁也の尻を蹴り前につまずかせた。
そのまま肩をひかれて強制的に歩かされる。
郁也の肩は恐怖に震えていた。
楽しい時間があったからこそ、これから起こることに耐えなければならない今からの時間がとてつもなく憂鬱なものとなった。
数十分歩かされた先は、古く汚いが故にあまり使われていない男子トイレだった。
先月の工事でトイレが新しくなり、綺麗になったのだが、ここだけはどの教室からも遠いためか、改装工事が行われなかった。
運動部の部室が一番近いため、部活生が主に使用している。とはいってもよほどの急ぎがない限り、改装済みのトイレに遠回りしてでも行く生徒がほとんどだった。
そのためあまり人が来ないのだ。
「おら、着いたぜ」
乱暴に床に叩き落とされ尻餅をつく。
トイレの隅に落とされた郁也は近くに落ちたスクールバッグを抱えてゆっくりと顔を上げた。
そこには先ほどの4、5人と圭吾がいた。宏行はいない様だった。
「転校生と仲いいじゃーん?いくやくーん。」
圭吾が郁也の腹に蹴りを入れる。
あまりの痛さに呻きが漏れた。
「お前の何が気に入ったのか知んねーけど、こっちとしては気にくわないんだよなぁー。だから」
郁也は首元を掴み上げられ、圭吾の鼻と郁也の鼻が微かに触れる。
郁也は次の言葉に怯えていた。
「服、ここで脱いでくんね?」
圭吾独特のニヤニヤした表情がこの時郁也の脳裏に鮮明に残された。
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