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島田
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どこからともなく、5月23日がキスの日だという情報を仕入れた。けれどその日は彗さんは用事で会えなくて、キスに飢えていた僕は葵くんを唆してみることにした。
シラフでは聞き入れてくれるわけないので飲みに誘ってみた。彗さんに教えてもらったお洒落な居酒屋は葵くんのお気に召したようで、ぐいぐいお酒を飲んでいて僕は心の中でガッツポーズしていた。
それでも話題がなんだか熊谷先生のノロケみたいなものばかりになってきたので、そろそろ帰ろうと店を出てから、キスの日の話題を振ってみた。まだ理性の残っていた葵くんだけど、千鳥足だったのをいいことに、うまい具合にガードレールに座らせる形で唇を奪う。
でもなかなか強情で口を開かない。これじゃあ子供同士のちゅーレベルだ。
「いいじゃん、キスの日くらい」
「ぷはっ......良くあるか!何が悲しくて島田とキスしなきゃいけないんだよ。もう帰るから離せ」
「えぇーっ、ねぇ、ちょっと、ちょっとだけ!」
「やだったらやだ」
「ええい、ならばこうだ!」
「んがっ!」
不意をついて葵くんの鼻を摘まむ。ふがふがと口で呼吸しているところに思いっきりキスして舌を入れた。僕お得意の攻めのキスで口内を撫で回せば、しだいに葵くんの抵抗が弱くなってきた。
「んっ......ふぅ、ん......っ」
甘い。さっきまで飲んでいたフルーツのお酒のせいだろうか。葵くんの舌はなかなか僕の方に来てくれないけど、極上のデザートみたいに美味しくて何度も味わった。
通行人に何度か見られたけど、夜中の飲み屋街で、おまけにソッチ系のお店がある筋の近くだったから、みんなスルーしていってくれる。あと少し、もう少しだけ......と思っていた時、葵くんの香りとはまた違った、花のような香りが夜風にのって漂ってきたのを感じてそっちに目を向けた。
「あは、見ぃちゃった」
そこには、僕の愛してやまない人が綺麗な笑顔で立っていた。
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