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勇者の話
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10年前、15歳だった俺は勇者になった。
***
幼少期、親に捨てられ協会で育てられた俺は自分で言うのもなんだが手のかからない優秀な子どもに育っていたと思う。
俺を育ててくれたシスターや神父様はとても優しかったし、迷惑をかけたくなかったから勉強をたくさんした。
俺の下にも同じ境遇の子供たちは沢山居たから面倒を見てやったりもしていた。
学校で行われる剣技の授業では才能があったのかどんどん上達していった。
するといつの間にか有名になって街の皆から期待されるようになっていた。
そんな俺が勇者に選ばれたのは必然だったと言えるだろう。
10年前に勇者になるよう王様に命ぜられた俺は最低限の防具と武器で旅に出た。
そして仲間を増やし魔物を倒し、着々とレベルを上げていった。
二年前、街に疫病が襲いかかった。
人がバタバタと倒れ次々と死んでいくのを目の当たりにした。
お世話になったシスターも、可愛がっていた子供たちも、優しかった街の人達も。
この時俺は初めて魔王が憎いと思った。
魔王を倒せば平和に生きられる。
疫病や災害は全て魔王のせいなのだから。
これは教科書で習った事。
人間なら誰だって知っている事。
魔王を早く倒さなければ…
そして現在、俺は仲間と共に魔王城にて魔王を倒した。
…はずだった。
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