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「……………………。」
………すごいこっち見てる。睨むわけでもなくただ冷たい視線を送られている。---怖すぎる。
時間も場所もやってる事も全部、目の前にいる怖い人、一ノ瀬くんたちが悪いのに、なぜ僕の方が悪いことをしてしまったという気持ちになってるのか。彼の表情からは怒っているのかどうかはわからないが、相手があの佐久良さんだったのだ。邪魔されて腹を立てない野郎はいるのだろうか。
「え、えっと、、邪魔してごめんなさい……」
精一杯の謝罪はとても頼りなくか細いものとなった。
一ノ瀬くんからの無言の圧に勝てるはずもなく怯んでしまうのは仕方のないことだと思いたい。同い年の男なのにこうも違うと少しショックでもあるが、それにしても彼は大人びていると思う。まぁ僕が子供なのかもしれないが…。
「……………………。」
僕の言葉に返事をする気は無いのか、黙ったまま。
この場にずっといられるほど図太くは無いので今日は別の場所でお昼を食べようと踵を返す。これからはもうこのお気に入りの場所も安心して使えないなと思うと少し悲しい気もする……。それにしても一ノ瀬くんの存在感というかオーラというか、なんだか近寄りがたくてやっぱり怖いな、と足早にその場を立ち去ろうとした
………のだが、
------グイっ
「ぇえっ?!?んぐっ」
背後から音も無く迫ってきた一ノ瀬くんに首根っこを思いっきり掴まれ、軽々と持ち上げられる。15センチの身長差でこうも体格が変わるのか……と考えるが、きっちり着込んだ首元が締め付けられて息苦しく、段々と頭に白い靄がかかっていく。背後にいるため彼の顔は見えないがきっと表情なんて1つも変えてはいないだろう。
一ノ瀬くんは僕をぶら下げておくのに飽きたのか、首根っこを掴んだまま教室の中へ放り込むようにして僕を投げた。
大きな音を立てながら周りの机たちと一緒に倒れる。
「いっ………」
反射的に声を抑えてしまう。あまり声を上げるとさらに暴力を振るわれることを僕は知っているから。
ふと目の前に影が見える。
それにつられて僕は一ノ瀬くんを見上げた。と、同時に視界が一気に反転する。
「っ!?!?」
あまりの痛みに何が起きたのかわからなかった。
吹っ飛んだ勢いと、とてつもない頬の痛みと彼が少し上げている足から、たぶん僕の顔面を思いっきり蹴飛ばしたのだろう。母の力とは比べものにならない、これぞまさに本物の暴力。目の前に星が飛ぶような暴力を振るわれるのは初めてのことだった。
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