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6 (R18)
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一瞬、泣くのかと思ってギョッとしたけど、さすがオトナだけに、涙を見せたりはしなかった。
「永井君はっ……オレに、何求めてんのっ?」
感情を必死に抑えるみたいな昂ぶった喋りで、唐突に訊かれる。
「せっ、先生としては、これ以上、無理だっ」
これ以上無理。分かってたけど、実際に言われるとグサッと傷付く。
けど、無理だって言われたって、「分かった」なんて物分かりのいいフリなんかできる訳なかった。
「先生……」
唇を歪めて笑みを作り、何て言ってやろうかと考えを巡らせる。けど――その巡らせようとした考えは、いきなりの久保田からのキスで霧散した。
ぐっと引き寄せられ、首に腕を回されて、強く唇を押し付けられる。不覚にも一瞬反応できなくて、混乱してる間に、口中に舌をねじ込まれた。
お世辞にも巧みとは言えねぇキスだけど、思い出すまでもなく久保田からのキスは初めてで、どうすりゃいいか分かんなかった。
キスに応えることも、反撃することもできねぇまま呆然としてると、強い口調で言われた。
「キミは、先生と、こういうことするのか?」
意味が分かんなくて「は?」って戸惑う。そしたらいきなりぐるっと視界が回転して、気付いたら体勢が逆になってた。
ベッドに押し付けられ、上からのしかかられ、身動き取れねぇ。
両手を腕一本で頭の上で拘束され、反射的に押しのけようとしたけど、背中をべったりベッドに押し付けられたまま、起き上がることはできなかった。
思わぬ反撃についていけなくて、呆然と相手を仰ぎ見る。
久保田はすげー強張った顔してて、怖いくらいにオレをまっすぐに見下ろしてた。
「遊びでオレを振り回してんのはっ、キミの方だろっ?」
感情の抜け落ちた顔してんのに、声は上ずってて、すげー怒ってんのが分かった。
「遊びじゃねーよ!」
「遊びだろっ!」
カッとして言い返したけど、即座にまた言い返され、このっ、って思う。なんで分かって貰えねーんだ、って、理不尽さに腹の奥が燃え上がる。
許せねぇって思った。
無茶苦茶にしてやりてぇ。思い知らせてやる。
「っ、てめっ、放せっ」
再び体勢を入れ替えるべく、力いっぱい暴れた。けど、いつの間にか脚の間に割り込まれ、上半身を押さえつけられ、蹴ることも殴ることもできなかった。
「オトナの力、ナメんじゃない」
冷たい口調で告げられて、ヒヤッとする。
オレは今まで、コイツを力でねじ伏せて来たつもりだったけど。もしかしたら久保田は、いつでもこうやって反撃することできたんじゃねーか?
そりゃ、写真使って脅してはいたけど……。
混乱と怒りと焦りと衝撃に、心と体がかい離する。
反撃をやめて呆然としてると、腰が軽く引っ張られて、デニムのベルトが外された。
「動くな」
さっきと同じ、冷たい口調での命令。
ファスナーを下ろされ、下着ごとデニムをずり降ろされ、萎えた股間を丸出しにされる。
一体何をされんのか分かんなかった。けど、なんでか身動きできなかった。直後、生温かいものに陰茎を包まれ、フェラされてると気付いてギョッとする。
「先生っ」
こんな状態で、こんな気持ちのまま、フェラされたって嬉しくねぇ。
脅して、「舐めて」って命令して、ひざまずかせてフェラさせた時だって、どこか空しさはあったけど、今ほどじゃなかった。
悔しさと悲しさに顔が歪む。
刺激に敏感な男性器が、気持ちとは裏腹にそそり立つ。
「先生……っ」
泣きてぇような暴れてぇような、渦巻く感情を必死に抑え込み、久保田を呼ぶと、ようやく口淫から解放された。
けど、それで終わりじゃねぇらしい。
バッとシャツを脱ぎ捨てた久保田が、同じく下も脱ぎ捨てて、オレの上に乗り上げる。
えっ、と思った時には再び性器を掴まれて、先端に濡れたモノが宛がわれた。
「キミがこうしたいのは、教師? それとも、オレっ?」
少し上ずった声で訊かれながら、熱く狭い体腔に迎え入れられる。
その問いに答えられねぇまま、快感と窮屈さに息を呑む。
「3年になったら、次の担任とも、こうやって寝るのっ?」
「んな訳……」
「それとも、卒業するまでのつもりだった?」
強い口調での質問が、オレの鼓膜を震わせる。
何か言いてぇのに息が詰まって、うめき声すら上げられねぇ。
やがてずっぽりと根元まで埋められ、ギュッと閉じてた目を開けた。目の前には裸の久保田がいて、今にも泣きそうな顔で、オレをじっと見下ろしてた。
「先生……」
「先生はやめて。隼人」
いきなり下の名前で呼ばれ、ドキッと胸が跳ね上がる。
「恋人なら、他の呼び方があるだろ?」
恋人って単語にもドキッとした。けど、久保田の顔は泣きそうに強張ってて、恋人同士な甘さに欠ける。
今、体の奥深くで繋がってんのに。心が繋がってねーのを、見せつけられた気がした。
最初から対等じゃねぇ関係だった。
罠にかけて騙して追い詰めて迫って、眠らせて縛って犯して、脅して。その後も、オレが一方的に強要し続けた関係だった。
けど、それでも会うのをやめらんなかったのは、どうしようもなく好きだったからだ。
憧れて惹かれた。手に入れたかった。自分のモノにしたかった。1度抱いたらますます気持ちが強くなって、どうにも手放せなくなっちまった。
そんな顔させてる事に罪悪感を抱きつつ、「もういい」とは口に出せねぇ。
好きだと思った。
「久保田……」
オレの言葉に、久保田が苦笑して首を振る。
「オレの名前、知らない?」
寂しげに笑われ、今度はオレが首振る番だった。
「圭、好きだ」
腹筋で起き上がり、上に乗っかったままの久保田の体を抱き締める。
「んっ」とうめく恋人にキスして、顔を覗き込みながら「好きだ」ってもっかい告げると――久保田はこくりとうなずいて、「オレもだ」って笑った。
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