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たかいとこ(1)
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そんなわけでやってきたのは最近出来た一番高いって言われてるタワーみたいなとこ。
猫って高いモンが好きってのは本当らしいし、地上の方より上に行った方が幾分かは涼しいきもする。まあ、それはいい。猫も中を上がっていって周りが高くなっていくにつれてどんどんテンションが上がっていく。楽しそうで良かった。・・良かったけど。
「ちょ、猫待て待て待て!!ちょい待て速い高い怖い!!こんな高いのかよ!完璧なめてたよコレ!」
・・・・俺、高いところ苦手だったみたい。
「おそい!」
「なあ、待ってそんなに軽蔑するような冷ややかな目で見るのは止めてくれ。誰だって苦手なことの一つや二つあるだろ? な? だって考えてみろよお前、ちょ、外覗いてみ? 怖くね? 怖いよね? ・・・・あーもう!!そんな満面の笑みすんな!」
楽しくて楽しくてしょうがないらしくて俺の手をぐいっぐいって引っ張ってきて、もう、どうすれば、これ高すぎない?おかしくない?もしかして設計ミス?
「そら、ちかいな!」
「空?見てなかった。確かに近い・・ってちょ猫そんな窓にべったり寄りかかってパンッて割れたりパコって外れたりしたら落ちるぞ!落ちたら即死だぞ!」
俺の高いとこが苦手っていうのは、落ちるところ、想像しちゃって。・・こうジェットコースターで落ちる時の腹にくる感じのやつがゾワワってきてもう・・!!もうだめ!!
でも絶叫系とかは好きなんだけどな。なんでかな。
でも俺の訴えもむなしくシカトされてる。ひどくね?!しかも律儀に俺の手を握ったまま窓付近に行くもんだから必然的に俺も窓付近に・・うお・・腹がぞわぞわする・・。
「はやくいこう!てっぺん!」
「え、ちょ、待て!うわっ!!」
するするっと人の波をすり抜けてどんどん進んで頂上を目指す猫。なんだその無駄にしなやかな動き!!
「うわっっっ!!!猫、ちょ、ここ床透明なんだけど!!下見えるよ?!なんの需要があるんだよコレ!!これ外れたら落とし穴形式でそのままがくんって落ちてやばいじゃん怖ッ!!」
「へいき」
くるんと振り返って、力強い目で見つめられる。
そのままぎゅっと握ってある手を握り込められて、少しスピードを落としてこの透明トラップを回避していく。
なんか断言されると少し平気な気がしてきたけど、手は冷や汗でやばいことになってきたし鳥肌たちまくってるし。
「・・・・ま、まさ」
「え?!なんて?!」
もう透明のとこから足が滑って下に飲み込まれそうな気までしてきて、やばい。怖い。もう逆に下から視線がそらせなくなってどんどん顔が青ざめていく。頭が落ちるって言葉しか浮かんでこなくなってきたときだった。
「っ、ま・・・・まさよし!!」
「うわ!・・・へ?・・・なに・・」
少し大きく名前を言われてビックリして
情けないけど腰抜けそうだったり。
「そら」
「空?」
「そら・・・・みてたら、こわくない」
それだけ言ってまた歩き始めた。
・・・・空。
ふっと外に視線を向けて外の流れていく大きな雲を見つめる。
・・・・おお、なんか。なんか気が紛れる。足の竦みも直ってきた。
「・・・・猫・・」
「そらみてて」
「・・・・はい。」
猫の方を向こうとしたけど、・・確かに大人しく空見てた方が迷惑かからないかもしれない。せっかくの外出なのにこれ以上猫の楽しみを妨害するのも頂けない。
そのまま猫に手を引かれるまま外を見つめてた俺が
いまだに名前を呼んだ恥ずかしさで顔を真っ赤にしてた猫に気づいたのは、もう少し後の話。
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