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元同級生 3
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「こんなとこで会うなんて驚いたよ」
ドアを閉めると、改めて田村が言った。
「そうだな」
「市川はバイなのか?」
「定義はよくわかんないけど、今は男と付き合ってる」
「決まった相手がいるのか?」
うなずいた。
「だから、塚田さんとのことに乗り気じゃなかったんだな」
『塚田さん』とは祥子のことだ。
「市川のことは、小山は知ってるのか?」
「知らない」
「そうだよな。
あいつのことだから、みんなにペラペラしゃべりそうだよな。
だから、俺も誰にも言ってない。
でも、市川もそうだったなんて、驚いたけど、少し、うれしいよ」
「なんで?」
「なんでって、一人じゃなかったんだってわかったから。
どうせなら、高校生の時に知りたかったな」
「知ってたらどうだったんだ?」
「知ってたら、あんなに悩まなかったかもしれない。
もしかしたら、市川は塚田さんとじゃなくて、俺と付き合ってたかもな」
そう言って、田村は笑った。
田村があまりに嬉しそうだったので、高校生の時は女の子にしか興味なかったとは言えなかった。
でも、たとえ、同性を好きだったとしても、田村と付き合っていたとは思えなかった。
二人が黙ると、隣から喘ぎ声が聞こえてきた。
周りはそういう目的でこの場所に来ている。
変な雰囲気になる前に、出た方がいいかもしれないと思った。
「市川はどっちなんだ? タチ?ウケ?」
「ウケだよ」
「へえ、俺はタチだよ」
まるで、商談成立したみたいに田村が言った。
「キスしていいか?」
当然の権利のようにそう続けた。
「え?」
「キスは嫌か。じゃあ」
いきなり、浅黄の腰を抱いて引き寄せ、ジーパンのボタンをはずそうとしてきた。
「ちょっと、待てよ」
浅黄は慌てて体を離した。
「なんで? せっかくだし、いいじゃないか」
「俺、付き合ってる人いるし」
「他の人とはNGの人なんだ?」
「て言うか、お前のことは元同級生としか思えないよ。
だから、合コンに戻れよ。
お前のこと、待ってるかもしれないぜ」
そう言うと、田村を置いて個室を出た。
トイレの中にいた男たちからのねっとりとした視線を受けながら、早足でトイレの外に出た。
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