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ブルームーン 4
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翌週の金曜日、藤井が浅黄の店に来た。
5歳ぐらい上の男性と一緒だった。
「藤井がこんな店を知ってるなんて意外だな」
藤井の連れが、店内を見渡した。
「俺も知り合いから教えてもらったんです。
実は、来たのは初めてです」
「そうか。こういうバーは、知らないと、入るのに勇気がいるもんな」
「そうですね」
金曜の夜ということもあり、店内は少し混んでいた。
浅黄がすこし離れたところの客を相手にしているのを確かめると、藤井は勇気を振り絞って、ずっと言おうと思っていたことを言葉にした。
「俺、田所さんのこと、すごい好きなんです。
だから、離れてしまうのはすごい残念です」
「そうか、ありがとうな。
おれも、藤井のことは好きだ。
まあ、基本的にうちのグループのやつは、みんな好きだけどな。
でも、特におまえは、すごい素直で、面倒なことを頼んでも、いやな顔せずにやってくれる。
すごい助けられた。
いなくなると寂しいよ」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
藤井は、涙が出そうになるのをぐっとこらえた。
2杯飲むと、二人は店を出た。
帰り際、藤井は浅黄に向かって、ちょこんと頭を下げた。
その顔はとても満足気で、幸せそうだった。
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