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リハビリ
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葉菜の調子が良くなってきた頃、渉から一つの提案が出された。
「葉菜のリハビリだけど、葉菜が初対面の理学療法士と接するなんてできるわけないだろ?だからリハビリ始める前に院内をブラついてみたらいいんじゃねぇの?お前人気者だし嫌でも人と関わることになるだろ?」
渉の言う通りだった。
葉菜が普通の生活を送るのは無理にしても、自宅で過ごせるようにするには必ずリハビリを受けなければならない。
術後のリハビリもあるが、葉菜はまだ栄養が足りていないためうまく歩けないのでそれらを含めたリハビリを行わなくてはならないのだ。
リハビリを受けるにせよ、人がまだ怖い葉菜にいきなり理学療法士と会わせるのは心配なので、渉が言った提案が最も優れた案だろう。
「そうだね。渉の言う通りにしてみよっかな。一日二回くらいその辺をブラついてみるよ。」
渉はそういうと思った、とでも言いたそうなにやついた表情でこちらを見ている。
「ん。じゃぁ点滴してない時間にしろよ。車椅子が必要になったらいつでも言え。すぐ用意するから。」
そういうと渉は病室を出て行ってしまった。
「なつき、なに、の、おはなし?はなの、おはなし?」
渉が来るつい先ほどまで点滴を受けていた葉菜が首をかしげながらこちらを見ている。
「そうだよ~、葉菜のお話。葉菜、菜月とお散歩してみよっか。このお部屋から出てみよ?」
葉菜の両手を手に取り、膝を曲げ、目線を合わせて話すと葉菜が迷ったように頷く。
「こわい、ない…?いたい、は?」
明らかに目に恐怖が浮かび始めた葉菜をギュっと抱きしめ、菜月は大丈夫だよぉと背中を叩いた。
それから、菜月は葉菜に行くのをやめるか聞いたのだが、抱っこしてもらえると知った途端に葉菜は両腕をうんと伸ばし、散歩に連れて行ってもらうことにしたのだった。
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