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リクエスト⑥ プチパニック3
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「ッ、お帰りなさいませ、会長、翼さん」
瞬時にパッと立ち上がった真鍋が、最敬礼で頭を下げる。
「この度は…」
そのまま土下座でもするのではないか、と思うほど、深く深く頭を下げていった真鍋に、火宮が軽く首を振った。
「それは後だ。先にそこを空けてくれ」
翼を下ろしたい、とソファを示す火宮に、真鍋がサッと場所を空けた。
「ふぅ。恥ずかしかったー」
ストンとソファに下された翼が、ようやくホッとしたように息を吐いた。
その足首には、包帯がぐるぐると巻かれている。
「ったく、散々横抱きが恥ずかしいだ、痛み止めの注射は嫌だ、苦い薬は止めろって大暴れと大騒ぎをして…」
恥ずかしいのはどっちだ、と火宮が呆れている。
「だって…」
「ふっ、まぁいい。で?真鍋、なんだって?」
翼を下ろした火宮が、スゥッと真鍋と夏原に視線を移した。
「はい。会長、この度は我々の不注意で、翼さんにお怪我をさせてしまいまして…」
「ククッ、廊下で夏原に襲われていたって?」
「は?」
ニヤリ、と悪い笑みを浮かべている火宮に、真鍋がガバッと顔を上げた後、翼を睨んだ。
「っ!だってなんで階段から落ちたりしたんだって聞かれて!」
流れで仕方なく、と慌てている翼に、真鍋の冷たい目が向く。
「クックックッ、翼にスクープされるなど、何をやっているんだ、おまえらは」
こいつの気配など、10メートル先でも分かるだろうに、と笑っている火宮に、真鍋が気まずそうに目を逸らす。
「ククッ、まぁ幹部フロアにまさかおまえに害をなす人間がいるとは思わないか」
「害って…」
夏原と翼を順に見た火宮が、面白そうに目を細めた。
「真鍋にとっちゃ、害虫一匹とはた迷惑な小虫だろう?」
「能貴より辛辣ですね。害虫って…」
詫びのために立ち上がっていた夏原の顔が、さすがに苦いものになる。
「元凶だろうが。で?」
「まぁ我々が深追いしたせいで伏野翼くんがお怪我を。申し訳ありませんでした」
綺麗に腰を折った夏原の肩から、サラリと長い髪が落ちる。
「ククッ、依頼1つ無報酬のタダ働きで手打ちにしてやる」
「うぇ…。分かりました」
まぁヤクザの落とし前にしては、その程度なら相当マシな方か?
渋々ながらも頷いた夏原に、横で真鍋が深々と、また頭を下げた。
「会長、私は…」
「ふっ、気に病むな」
「ですがっ…」
「そもそもこいつがチョロチョロとちょっかいをかけなければ、おまえは追わなかっただろう?」
それは…、と言葉を飲み込む真鍋に、火宮が艶やかに笑った。
「ったく、だから夏原と真鍋のことに首を突っ込むなと言っているのに…」
ギロッと翼に向く火宮の視線に、翼がギクリと身を強張らせている。
「おまえは仕置きだぞ」
「え!なんで!俺怪我人なのにっ」
いーやー、と逃げ出そうとする翼の頭をガシッと捕まえて、火宮が妖しく笑った。
「おまえのその怪我は自業自得だろうが。まったく、性懲りも無く俺の大事な身体を傷つけて」
「うっ…」
「クッ、翼、今夜はバイブを入れて拘束して、飛ぶまで快楽地獄だな」
「そんなっ…」
すでに半泣きの翼に、真鍋の苦しげな目が向いた。
「真鍋、おまえには気にしないことの方が辛いだろう?十分罰さ」
「会長…」
「クックッ、それにしても、壁ドンだったか?油断したな、真鍋」
「それは…」
「あー、そうだ。伏野翼くん。その写メ俺にもちょうだい」
「え?」
「能貴とのツーショット」
クスクス笑っている夏原に、真鍋の殺人的な視線が向いた。
「そうだな。右腕のレアな油断しまくった醜態か。俺にも寄越せ、翼」
「会長っ?!」
真鍋の珍しく焦りに裏返った声が響いた。
「あの、えっと…」
2人の要求に、翼がオロオロと困惑した瞬間。
「翼さん」
にーーっこり、と、それはそれは綺麗な笑顔の真鍋が、それはそれは鋭い目をして、翼に絶大な圧力をかけていた。
「け、消しますっ」
ワタワタとスマホを取り出した翼が、夏原よりも、火宮よりも優先して、真鍋の意向に従った。
「ふん、裏ボスめが」
「あーっ、せっかくの俺の壁ドンが!せっかくのツーショットが」
「いい子ですね」
翼が1人、複雑な顔をして、痛めた足首をブラブラと揺らして不貞腐れていた。
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