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「さーて、ポチくんはどんなことを知りたい?ポチくんが知らないこと、こと要さんがなーんでも教えちゃうよ!」
「俺が知らないこと…?」
ポチくんはそういうとうーん、と悩み出す。
子供みたいに。
ポチくんからしたらこの世の事だいたい知らない訳だし、僕が知らないことを聞かれることはまずないだろう。
余裕ぶって置いておいたオレンジジュースを飲んでいると、ポチくんがハッとして僕の顔を見た。
「探偵さんのこと、知りたいです!」
「っ、…えぇ、アイツのこと…?」
思わずオレンジジュースを吹きそうになりながらポチくんを見つめた。
よりによってあの馬鹿のことを知りたがるって…本当にポチくんの世界は狭いみたい。
それにしても何をどう言えばいいのかわからない。
「探偵さんのこと、俺なんにも知らないんです。名前も知らないし…探偵さんはよく俺にここに来る前は何をしてた?とか聞くんだけど俺が逆に聞いても知らなくていいって言うし…」
「なるほどね。うーん、でも僕から話したらアイツ怒るかもなぁ。」
「…内緒にする!秘密にします。」
「そんなに知りたい?」
「知りたい…!」
興味津々で目を輝かすポチくん。
そんなに面白いことはないと思う…んだけどね。
「ポチくんは、探偵さんの昔はどんなのだと思う?」
「…魔法使い!…か、ヒーロー?」
「あっははは!あれがヒーローだったら嫌だよ。残念だけど、逆かなぁ。」
「逆?」
「うん。悲劇のヒロインって感じ?」
「ええと、…」
「ヒーローをアイツはずっと待ってたんだよ。」
ポカンとするポチくんの頭に手を置いて笑ってみる。
あーあ、怒られちゃうかな。
でもいいか。
たまには僕だっておしゃべりしたいし。
ポチくんは秘密にしてくれるって言ってるし。
「あのね、探偵さんの家族はもういないんだ。」
これはほんの少し前のお話。
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