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「あれ、もう寝ちゃった?」
その声に目を開くとベッドの脇にホカホカと湯気を立てる何かと要、それから少女の姿が見えた。
「起きてる。」
「良かった。君がすぐに良くなるようにナルちゃんと一緒にお粥を作ったのさ。食べるだろう?」
「あぁ、もらう。」
「ナルちゃん料理が得意で君が寝てる間もポチ君と色々作ってくれたんだよ。」
そう言われながら要に体を抱えられゆっくりと起こしてもらう。
壁にもたれながら二人の方を向くと白いワンピースを来た少女が俺を見て深々と頭を下げた。
「本当に、本当にありがとうございます。」
「…いや、別にいい。体は大丈夫か?」
「何も悪いとこはありません。本当に、どんな風にお礼を言ったらいいかわからなくて…」
「俺は仕事だ。感謝なら親に言え。あぁ…これ食ったら親に連絡してやるからちょっと待ってろ。」
「…はい、ありがとうございます。」
礼儀の正しい子だ。
あの親もかなり心配してたから早く連絡してやりたい。
が、空腹には勝てない。
「…要。」
「なぁに?」
「そのスプーンと手はなんだ。」
「ん?怪我をした君のために僕が愛をこめてあーん…をしようとしてるだけだけど?」
「右手は無傷だ、いらない。」
「ちぇ、酷いなぁ。僕がいないと君死んでたんだよ?少しは感謝してほしいんだけど。」
「あぁその分は感謝してる。が、それとこれは別だ。ほら早くよこせ。」
「素直じゃないんだから。」
要から奪い取ったスプーンでお粥を口へ運ぶ。
卵とネギしかないシンプルなものだが味は絶品だ。
だが、いつもとどこか違う。
当たり前だが他人の作った飯って感じだ。
「美味い。」
「よかったです。」
「…なぁ、要。ポチ見てないか?」
「ポチくん?さっき廊下の方走っていったからトイレじゃないかな?」
「トイレ…てっきりお前の所に行ったんだと思ってた。ま、すぐに出てくるか。」
深く考えずそのまま残りのお粥を流し込みスプーンを置くと要がキッと怖い顔をして俺を睨みつけた。
…なんだ、みんな揃って。
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