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あの足音はタキに間違いない。
十年も一緒にいたら足音だけでタキだとわかる。
それにこの城に出入り出来るのは、寿とタキしかいない…。
寿の自室のドアが勢いよく、バーンッッ!!と開く。
「寿様、大変ですっっ!!」
寿はその声に週刊総合を鼻のところまでずらして、視線をタキに向ける。
タキは息を切らして、肩が大きく上下に揺れていた。
「隣国の皇子がおいでになられます!!」
「……あっそ」
寿はどうでもいいような返事をしてタキに背を向けると、顔に乗せていた週刊総合がずれ落ちる。
「あっそ、ではないのですよ!寿様っっ!!」
タキは声を荒げる。
寿は眉間に皺を寄せながら身を起こして、ベッドの上で足を組む。
普段こんなことをしたら行儀が悪い!
とタキに注意されるが、今日はそんなことは構っていられないらしい。
隣国の皇子が来るだけで何が大変なのか、寿には全くわからない。
「隣国の皇子が来るってことは、国王がパーティーか何かやっているんだろう…?そのパーティーに呼ばれた隣国の皇子が王宮に来るなんて普通のことだろう?」
だから、タキがこんなにも慌てているのか寿には不思議で仕方ない。
表向きは親睦パーティーなど銘打っているが、親睦なんて名目だけで本当の目的は腹の探り合いだ。
寿はこの城に幽閉されているからパーティーに出たことはないが、それぐらいわかる。
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