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「失礼します」
コウは頭を下げて、寿の部屋に入ってくる。
「……どうした?」
寿は冷静を装って聞く。
「色々とお知りになられた方がいいと思いまして、これがここで働いている者の顔写真と名前が載っているリストです」
コウが寿に渡してきたのは、ここで働いている者の顔写真と名前と配属先が載ったリストだ。
「おっ、気が利くな!ありがとう!」
お礼を言うと、寿は早速目を通す。
(さっきの奴は…、)
寿が部屋に入ろうとした時に、睨んできた人物を探す。
(お、いたいた!)
目当ての人間はすぐに見つかった。
名前はジョージ。
配属は見張り番で庭師見習いのマユの兄、と書かれている。
(……庭師見習いのマユ…?)
マユを探すと、そこには一際幼い少女の顔が写し出されていた。
「後、隠し扉のこともご説明いたします」
「え、ああ…」
寿はリストから視線を上げる。
「ですが、その前にちゃんと皇子のお気持ちを知ってもらいたいのです」
寿は無意識に眉を顰める。
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