アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
34
-
「御意」
タキは早足で自分の部屋に戻っていく。
寿は高いところの壁一面を拭き終わってから、雑巾を若い女官に渡す。
「楽々ワイパーの使い方はタキに聞いてくれ。楽々というぐらいだから楽々に掃除が出来るはずだ」
寿が眉間に皺を見せて笑うと、若い女官は顔を真っ赤にしてずっと俯いたまま。
「どうした?体調でも悪いのか…?」
若い女官は俯いたまま、思いきり首を振る。
(まぁ、髪の毛と瞳と肌の色が違うもんな‥)
寿は女官が怯えているのだと思い、その場から去ろうとする。
「あの‥、ありがとうございました!」
「いや、気にしないでいい。こっちが勝手にしたことだからな」
震える声でお礼を言われて、寿は眉間に皺を寄せながら微笑む。
「‥格好いい…」
と若い女官が呟いたが、その声は寿の耳にはまったく聞こえなかった。
(あ、やべぇ‥)
そういえば皇子と庭でお茶しに行く途中だったことを思い出して、寿は困ったように頬を掻く。
目の前に顔を真っ赤にして働いている女官を見て、勝手に身体が動いてしまった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
74 / 246