アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
86
-
「寿…」
耳元で、皇子に名前を呼ばれて、ゾクリとゾワゾワしたものが寿の背中に駆け巡る。
(何だ!?今の…!?)
「…本当はしていけないことなのだが、ここから駆け上がって先に着いた者が勝ちだ!」
ここから、ということは銀の板を駆け上がるということ。
「ずるいっ…!!」
皇子が寿の後ろにいたので、若干皇子の方が有利だ。
寿は皇子が駆け上がっている反対側に陣取って、勢いをつけてそのまま駆け上がる。
「あ…!」
皇子が声を上げる。
寿は滑り台を駆け上がりながら横目で見ると、皇子は靴が脱げてバランスを崩していた。
寿はもちろん手助けなんてしてやらない。
そして勝負の行方は、
「俺の勝ち!」
と寿は高らかに右手を上げた。
滑り台の下には皇子が途中で抜けた片靴がぽつんとある。
もう遊具で遊ぶ年齢じゃない男二人が、しかも皇子と呼ばれている男がずるい手を使って、片方の靴が脱げるほど必死に滑り台を駆け上がっている。
(俺達は何をしているんだ…)
なんだかバカバカしくて、でもとても楽しくて、寿は眉に皺を寄せて、声を出して笑ってしまう。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
126 / 246