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「…きっと彼なら少年を守ってくれる。少年の傷ついた心と身体をその従者が癒してくれるだろう…、と。…きっと寿とタキのような、そんな関係になってくれると願っていたのだ」
タキは黙って曖昧に頷きながら、皇子の言葉に耳をかす。
「村から少年を引き離した。あの村長もいなくなった。そして少年には従者もいる」
皇子は嘆息をつく。
「…それでどこか安心してしまったのだろうな。…だが村長だけではなく、その村長がいた町の村人達も村長と同じ気持ちだった…」
皇子は小さく息を吸う。
「……。俺は村人達の少年に対する執着をどこか甘くみていたのかもしれない…。残虐な行為の執着心と集団心理というものは本当に怖いものだ……」
皇子がそこで言葉が途切れる。
タキは何も言わずに皇子が喋り出すまで待つ。
「………。……村人達はどうやって見つけ出したのか、少年と従者が住んでいる家を一ヶ月で探し出した…」
皇子は固い声で喋り出した。
「…そして六日前、村人達全員で、少年と従者が住んでいる家を襲撃してきた…」
皇子の言葉がまたもや止まる。
「少年一人と従者一人と、村人全員だ。…結果は見えている…」
皇子が小さな声で呟いた。
「……。次の日、二日に一度、別の従者達が二人にいつも食品を届けていた。二人に食品を届けに行ったところ、無惨に殺された少年と従者を発見したのだ…」
皇子の視線が下を向く。
「……。…従者は少年を最後まで守ろうとしたであろう。従者は少年を守るように少年の上で死んでいた…、と発見した従者から聞いた…」
タキも思わず目を伏せてしまう。
どうしてこんなことが起こってしまうのか…。
そしてタキにはこの出来事が、他人事だとは到底思えない…。
「報告を受けた俺が動く前に、現陛下が動いて下って、町に私兵を向かわせてくれた。…村人達を一人残らず捕まえようとしたが、なかなか悪知恵が働く奴らで全員捕まえるのに四日も掛かった…」
皇子が大きなため息をついて、顔を上げる。
「捕まった村人全員が口を揃えて言う…。あいつはアルビノだから殺されて当然だと…。アルビノの味方をした従者も死んで当然だと…」
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