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「きっと寿様は、お母様から自分のご立場を教えられていたのでしょう。まだ甘えたい時期なのに、寿様の頑張る姿に、私の方が涙が出てしまうほどでした…」
それでも笑顔を絶やさない寿に、タキはついつい涙もろくなっていた。
「ただ寝る前の一時がお母様に甘えられる時間でした。寿様は何も言わずにただお母様の腕に抱き締められているだけです。きっと二人には言葉はいらなかったのです。ただ抱き締めるだけで通じ合えたのでしょう…」
親と子。
普通の親子以上に固い絆があったから、お互いの温もりだけで通じ合えるものがあったのだろう。
その二人の姿にタキがまたもや泣いていたら、寿に笑われてしまった。
その時の寿はまだ眉を寄せて笑うのではなくて、子供らしい屈託のない満面の笑みだった。
「私が従者になって半年が経った時、寿様のお母様が急に倒れられました。…私は医療の資格ももっていましたので診察しました」
タキは従者になると決めた時から、ないよりはあった方がいい、と軽い気持ちでいろんな資格を取りはじめた。
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