アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
4
-
「これからどこに行くんだ?と聞くと、また鼻で笑われて、私はゾクゾクしました」
(コウはこういう趣味なんだな…、きっと…)
寿はもう突っ込むことを諦めた。
「『この姿で乗馬でもするとでも思うのか?帰るんだよ。神童までなると、お前らみたいに朝から晩までお勉強しなくて済むからな!』とそのまま帰っていきました。その言葉とその姿に…、」
「ゾクゾクしたんだろう?」
と寿が言うと、コウは真顔で頷く。
「それから私は毎朝校門に立って、彼が登校してくるのを待ち伏せしていました。…今思えば、あの頃から彼は寿様の従者をなされていたのです」
そんなことは露知らず。
「…彼は私を警戒して冷たく突き放そうとするのですが、またそれがゾクゾクしてしまい、私は余計に彼になついてしまう」
なつくというよりも、心酔に近い心境だったかもしれない。
「これでも私は従者を目指している者です。本当は彼について色々と知りたかったですが、神童となれば学生とはいえ誰にも言えないような仕事をしているかもしれません。…あと、あれこれ聞いて彼に嫌われたくない…、そんな思いもありました」
校門から中庭までの歩く時間。彼と過ごすほんの少しの時間。
そのほんの少しの時間が、ものすごく自分を幸せにしてくれる。
「なので、私は彼のプライベートのことは一切聞きませんでした…。ただ昨日はこんな勉強をしたとか、私が一方的に喋っていました。彼は聞いているのか聞いてないのかずっと黙っていましたが、私は幸せでした」
だから気付けなかった…。
彼、タキとの別れが近づいていることに…。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
181 / 246