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寿は母に誉めてもらうために、どんな事も諦めずに頑張ってきた。
頑張れば、母に頭を撫でてもらえるから…。
「俺は母と過ごせるだけで満足だったんだ…」
寿はただ一点だけを見つめている。
寿の表情は昔を思い出して、懐かしんでいるのではない…。
無理に自分の思いを吐き出している寿の姿は、皇子にはものすごく痛々しく映っているだろう。
だが皇子は寿を止めようとはしない。
ただ寿の言葉に耳を傾けるだけ…。
「嫌がられて差別もされて、自分の命が危険も伴うこの髪の色も瞳の色も肌の色も、母と同じ色だ。だから俺にとってはすべて誇りだ」
母と同じ色の髪、瞳、肌。
だからこそ自分を恥じることはしない。
それは母を恥じることと同じだから。
「傍に母がいればいい…。母さえいてくれたら俺はどんな困難だって乗り越えていける…。そう思っていた。…俺にとって母は唯一無二の存在だった。母がいるから俺は生きてこられたんだ…」
寿は無理やり頬を上げて笑おうとする。
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