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05.好きの意味①
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生まれた時から隣には茅がいて
俺は茅のいない世界を知らない。
今までどうやって過ごして
どう生きてきたかなんて
俺にはもう、分からない。
***
「手、もう痛くないの?」
お昼ご飯を食べていると不意に目の前に座っていた高木に声をかけられ箸を置く。
「….うん、もう痛くない」
手をグーパーして治ったことを報告する。
「その割には元気ないね」
「こらあき、シッ!」
あっきーがいらない事言ったと思ったのか、亮は人差し指を口の前に持ってきてアキを優しく叱った。
あっきーはごめんねと言って亮のおでこにキスをした。
亮は怒ってたけど、いつもの日常で俺は笑った。
いつも思うけどこの二人って出来てるのか?
普通、友だちにキスされたら当然………
「良かったな、手治って」
「…?」
「だって、利き手だっただろ。
煩わしいのがなくなって良かったじゃん」
─煩わしい。
「うん、確かに」
ふふっと笑ってもう一度箸を握った。
手は治った。
なのにまだ痛い。
手じゃなく、胸の奥の底が。
チリチリと何かが積もっているみたいな。
逆に散り積もった物がえぐり取られてるみたいな。
表現の仕方が上手く言えないけど。
とにかく、まだ痛いんだよ。
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