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【番外編】金と黒 9
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そんなふわふわした雰囲気でやってきたハプニングバー。大助とすることは決まったが、リバはあるかわからないと翔太に話すと、つまんないとブーイングされた。
視線の先には前を行く健人と凛がいて。凛の肩を抱いて……健人が遊びに手を出す前はあそこに自分がいた。もうあの場所には戻ることは出来ないのかもしれない。そう思うと、急に切なくなる。
ぽっかり空いてしまった穴を埋めたくて、こっそり大助にネコがしたいと言うと、大助はわかったと受けとめて優しく抱いてくれた。一通りの行為が終わって息を整えながら余韻に浸っていれば、大助が手を伸ばし、汗でひっついた明の前髪を払って。
「明、敏感になったね」
「そう?」
すると、額に大助の唇が落ちてきて、そこから頬や目蓋にとリップサービスが始まった。
「うん。前した時と中の具合が全然違う。祐馬のおかげ?」
「なんで祐馬……」
特に抵抗することなく受け入れていた明だが、祐馬の名前が出てきた瞬間、大助の顔を手で押し退ける。
健人じゃなくて祐馬。回数のほうは祐馬のほうが明らかに上であるし、他人から見れば、そう思われて不思議ではないことだ。しかし、明は嫌だと感じた。ふいっと顔を逸らせば、大助がくすくすと笑って。
「開発すんの祐馬ぐらいでしょ。明がネコちゃんしたら、毎回抱いてるの祐馬だし」
「開発された覚えはないんだけどな……というか健人は?」
「健人? そういえば、もうかわい子ちゃんに飽きているはずなのに、どこにいるんだろうね」
嫌な予感しかしなかった。
彼女が出来たと報告をされた時のような、黒い感情がふつふつと滲み出てくる。心臓がドキドキとうるさい。せっかく整えた息も荒くなっていく。
……面白くない。
「明ーっ」
そう名前を呼んできたのは、祐馬だった。明は祐馬の顔を見上げて少しの間見つめると、口元を歪めた。
そうだ、祐馬がいる。
ただそう思った。なぜかはわからない。健人をとられるから。なにもなくなってしまう恐怖に焦ったのかもしれない。突然、祐馬の存在が有意義だと感じたのだ。
「おお、噂をすれば。祐馬、健人知らない?」
「え、どうだろ……かわい子ちゃんとこカーテンかかってたけど、そこにいんのかな? 他の場所にはいないようだし……」
「珍しいね。絶対一人じゃ終わらないのに……翔太が言ってた通り、かわい子ちゃんにメロメロじゃん」
そして、やはり健人は凛と一緒にいるようだ。これまでにたくさんのかわい子ちゃんを釣ってきて、好みのタイプは今回だけではないはずなのに、こういうことは初めてだ。今までとはなにが違ったのだろう。ざわざわとした感覚が順調に蓄積されていき、拭いきれない。
明が言葉が出せずに祐馬と大助の会話を眺めていると、祐馬の瞳が明へ向いた。
「それより明ってばネコちゃんしてたの? 大ちゃん相手だからタチしてるかと思った……最近ネコちゃんするの多くない?」
「なんとなくだよ……ねえ、祐馬。こっちくる?」
明は祐馬に向かって微笑むと、誘うように脚を開いた。すると、やれやれと大助が離れていって。
「いく! すぐに入れていい?」
「いいよ、おいで」
ぬかるむ明の中は、祐馬をすんなりと受け入れた。中が満たされ、覆いかぶさってくる祐馬の体重を感じる。それが今の明にとって、とてつもないほどに心地良く感じた。気持ち良い、このまま全部捨てることが出来たらいいのに。
明は祐馬に手を伸ばして、背中にそっと添えた。そうすれば、すぐに身体を揺さぶられて、祐馬の腰に脚を絡めながら熱い息を吐く。
しかし、抽挿が開始されてすぐのことだ。
「あれ、健人いた!」
「祐馬……と、明か。お前らよくヤってるなー」
突如と腰の動きが止まり、祐馬の視線の先を見ると、健人がいた。健人はぐったりした凛を抱えている。
明は動揺と妬ましさで狂いそうになるのを抑えて、いつものように呆れた視線を送り、口を開く。
「……またかわい子ちゃんに無理させたんでしょ。今日はその子置いて回らないんだ?」
「んー……今日は凛だけにしとくわー。シャワー行ってくる!」
(凛、ねえ……)
“かわい子ちゃん”ではない。
眉を寄せた明は、二人が奥に消えていく姿を自然と目で追いかけていた。
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