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「てかお前いつもここで食べてんの?」
「そうですよ。特等席です。俺がいると誰も来ませんし」
その言葉がひっかかった。
「なんでお前がいると誰も来ないんだよ」
「俺は変人ですし」
「お、おう……」
自分でそれを言うのか、とツッコミをいれるべきなのか?
岡村が表情を変えたところを見たことがないからどういう反応が正解なのか、判断しがたい。
「俺、頑張って受け答えしようとするんですよ。でも、全部間違っているみたいなんですよね。そもそも相手が何を考えているのかすらさっぱり分からないし。というか顔もよく覚えられないし」
「意外だな。てっきり他人に興味ないタイプだと思ってた」
「実際ないです」
ないのかよ!
「ないんですけど、頑張りたいって思ったんですよね」
「ふーん」
またオレは弁当の残りを食べきり、岡村も残ったパンをがつがつと食べていく。
会話がなくなってきまずくなった。
それを脱するためにオレは岡村に話していた。
「ま、少しずつ頑張ればいいって」
「そうですかね」
「うん」
岡村はいつのまにか食べ終わりビニール袋にパンの袋をぐちゃぐちゃにいれる。
ビニールの音が少しうるさい。
というか、ちゃんと認識してるんだな。「自分が変人」だって。
岡村の場合変人というか、極端に相手を気遣う能力がないんだと思う。
そもそもオレとの関係も脅し、ではあるが岡村がオレを観察したいという欲求から来ているものだ。
それを無理やり実行するあたり、少しずつ関係を築くことをしてこなかったし、しようともしなかったんじゃないか?
チャイムが鳴った。
「先輩、今日は話せてよかったです。それでは失礼します」
口角が少し上がっている。
表情が変わった……!?
オレは動揺して弁当箱をカバンに入れようとして失敗してしまった。
あいつ、笑えるのか、と失礼なことも考えていた。
その後すぐにスマホが鳴る。
やば、電源切っとかないと、と思いつつ見ると、岡村から。
『今日の放課後来てくださいね』
それさっき言えばよくないか!?
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