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2. 委員会
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部屋着から、学校の制服に着替えると再び寝始めたクロをおいて部屋を出る
自室は3階の奥にある。隔離されたようなその場所から、無駄に長い廊下と階段を通るたび、せめて2階が良かったなぁと思ったりもした
けどまぁ、もう慣れたものだが
「おはようございます」
欠伸を噛みころしながらリビングに顔を出し、中にいる父と母に挨拶をする
父さんは新聞片手に珈琲を飲んでおり、母さんは朝ご飯の支度をしていた
いつもはすでに仕事に行っているはずの父さんもいたのには驚いたが、すぐにそんな日もあるのだろうと一人納得する
「…おはよう」
少し遅れて、小さく挨拶が母から返される。母は素っ気なくとも挨拶を返してくれるけど、父はまるで僕など居ないかのような振る舞いだ
_別に、いつもの事だから気にはならない
どうにか気を引こうと頑張っていた時期もあったけど、もう諦めた
父も母も、僕になんて関心がないのだから。
関心のない人にどう対応しても、それは無にしかなり得ない
状況を悪化させる事は簡単だろうけど
「今日は委員会があるので、遅くなりそうです。」
僕が通っている高校は白結(シラユイ)学園…所謂お金持ち校で、通いだしてもう3年になる。
成績は学年トップを維持しており、今や生徒会長も務めている
自分で言うのも何だが、先生方からの評判も悪くはないだろう
両親の気を引こうとやっていた勉強が、こんな形で発揮されるなんて、少しだけ複雑だ
関心は向けないくせに実力は求めるから、実に面倒である
白結にも、ビジネス関係の方達の血縁者が多いからとほぼ強制的に入れられたようなもの
その白結学園で定期的に行われる委員会、それが今日なのである
生徒会長であるために他の委員会よりも終わる時間が遅くなる事も多く、委員会のある日はいつにも増して行く気が失せる
正直言ってやる気はないが、両親に入れと言われ渋々入った生徒会。
思った以上に大変で骨が折れる
拒否すれば面倒なことになる、が…今になって後悔している
「…そうか、くれぐれも外で恥を晒してくれるなよ」
その言葉…何回聞いたことだろうか
「はい、分かっています」
思わずため息が出そうになるもすんでのところで堪え、真面目な顔を保つ
嫌そうな顔にならぬように、嫌悪感は胸の奥底に押し込めて。
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