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3. 次期総帥
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『次期総帥』として、相応しい姿を。
ずっと言われてきた、聞き飽きた言葉
父は世界でも名の知れた柳沢(ヤナギザワ)財閥の総帥、母もどこか有名な財閥のご令嬢。
昔、使用人達が話してるのを聞いたことがある
2人は所謂、政略結婚で無理矢理結婚させられた身。
だから2人の間に愛はないし、2人の子供であるはずの僕も跡取りとしかみてもらえないのだと…
いや、あの両親のことだ。跡取りとしても駄目だと思っているかもしれない
そもそも、今の時代に次期総帥だの跡取りだの、馬鹿馬鹿しいとさえ思ってしまう
教え…というか習慣というのは怖いもので、気がつけば家族だろうと年上には敬語を使うようになった
否、使うようになった、というよりは使うよう言われた、の方が正しいのかもしれないが
いつのまにかそれは癖となっていたようで、次第に年下にまで敬語で話すようになっていた
父の言葉に返事をした後、静かに朝食の準備を始める
……朝、いつも母が用意するごはんは父の分だけだ
食べないという手もあるが、昔は作ってもらっていた事もあって落ち着かないので、朝ごはんは自分で用意して食べる
幸い、家にある食材は使っても怒られる事はない
甘い物が好きで、食パンを焼くとそこにブルーベリージャムを塗って口へと運ぶ
よく意外と言われてしまうので、皆のイメージから外れないよう外で甘いものは食べないようにしている。そのため、朝のこの時間が案外好きだったりする
飲み物には市販の紅茶を。
一々入れるのは面倒なので、いつも前日にコンビニなどでも売っているパックのものを買っておく
両親は既に作られている紅茶があまり好きではなく、前から買い置きしておくといつのまにか捨てられてしまっている
本当にもったいない
食事をしている間、2人との会話はない。あっても自分から早々に切り上げるだろうが
最後の一切れを口に入れると、残りの紅茶を流し込む
食べ終わる頃には丁度いい時間になっていたので、荷物を持って玄関へと向かった
「行ってきます」
_その言葉に誰かが答えることも無く、虚しく玄関に響いた
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