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桜咲き解れ結えば輩なり。
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「さて、進級おめでとう。……とは言っても君達にはあまり関係ないだろうから、団結おめでとうと言っておこうかな。」
サロンに用意された大きな12名がけのダイニングテーブルには、ボルドーのアンダークロスとオフホワイトのトップクロスがかけられ、シルバーが並び会食の準備がされていた。
下座から桜庭、アリス、怜、流生、潤、香、聖夜、鉄平、理人、吹雪それから副担任の伊藤、担任の海野とテーブルを囲んでいる。
今日初めてサロンに顔を出した担任の海野飽男(うんのあきお)は理人の叔父、朝日奈俊一郎の守人でこの学園の教師をしている。
ニヤニヤと笑う海野の顔はでっぷりと肥え、これで現役の守人だと言うのだから不思議だ。
「神の祝福が降りた所に立ち会えなかったのは残念だな。本来ならば、担任の私の許可なく楽師団を結成してはいけないんだけどね。たまたま朱雀様がいらしたから、特例として認められることになりました。学園長が寛大なお方で良かったね。理人君。」
「はい。申し訳ございません。」
副担任の隣に座り斜め前に座る海野に嫌味を言われる理人は、ピンと背筋を伸ばし、視線はまだトーションが乗っているのアンダープレートを見つめたままで謝罪した。
サロン内には嫌な空気が漂い、鉄平は膝の上で指が白くなるくらい拳を握りしめる。
それに気が付いた潤がそっとその手を握ると、開いた掌には爪の跡がくっきり残っていた。
「いやなに、謝って欲しいわけじゃないんだよ。ただ君達は自分達の力を過信している節があるからね。気を付けなさいと言うことだ。」
「はい。以後気を付けます。」
「ふむ、では桜庭君、自己紹介しなさい。」
「はい。桜庭涼介でございます。これからよろしくお願いいたします。」
立ち上がり、頭を下げるとテーブルに肘を付いた海野が桜庭に向かって声をあげた。
「それだけかい?」
「はい。」
「もっと話したらどうなのかね。たかが執事の家の出で、こんなにも素晴らしい楽師団の一員になれたのだから。他にも言うことはあるだろう?奴隷のように教育されていましたとか……ほら、仲間なんだから隠し事は無しだろう。」
海野は咳なのか、笑っているのか分からないフッフッフッという音を口から漏らしたあと、まぁいい座れと言って食事の開始を側で控えていた学校の給仕人に合図をした。
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