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そう思いながらもヘラヘラしてると自覚のある笑顔を崩さないまま、机の上に置いていた履歴書を狐塚さんの前に差し出した。眉間に皺を寄せたまま、黙って履歴書を広げてざっと目を通す狐塚さん。この人が笑ってるところが想像つかないくらいに、仏頂面がお似合いだ。
「…お前、神村学園の生徒なのか。お坊ちゃまだな」
「いやぁ、全然そんなことないですよ~。全寮制なうえに進学校なのでとっても退屈なところで~す」
「嫌味か。まぁいい。一応、今まで接客業の経験はあるみたいだし、その笑顔で女性客をどんどん捕まえてくれそうだ。もう今日からこのまま入れるのか?」
「あ、もう採用してくれる感じですか~?全然今からでオーケーです~。よろしくお願いします、狐塚さん」
「あぁ、よろしく頼む。凪、って呼べばいいか?」
「は~い」
面接時間1分で採用決定。まぁ、個人でやってる飲食業なんてこんなもんだ。時給は850円ってチラシに書いてあったし、時間も土日の11時~16時と、俺にとっては一番いい条件のバイトが決まって内心ほっとした。
簡単にここのカフェの説明を聞くと、どうやらバイトは先着1名のみ、俺だけらしい。このカフェをオープンさせたのは1年前でずっと1人でやってきたらしいけど、最近客足もよく、さすがに1人では無理だからバイトを探してたようだ。
「で、これがうちのメニュー表な。開店時間まで1時間半はあるな。それまでに全部覚えておけよ」
「え、いきなりですか~?」
「進学校のお坊ちゃまなんだから、それくらい簡単だろ」
「うわ~なんかすっごい僻まれてるような…」
「正解だ。それと、ここでは俺の言葉が絶対だ。逆らったら覚悟しろよ」
「ええぇ…」
おうふ、すごい暴君だ。初めからどことなく感じていた俺様オーラが今ははっきり分かる。本当にイタリアンなんて作れるのかこの人。
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