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信じられない狐塚さんの言葉に、脳みそが手術を受けたように驚く。また俺をからかって楽しんでるんじゃないかと思ったけど、どうやらそんな余裕はないらしい。目の前にある狐塚さんの表情は仏頂面に真剣さが加わっている。
「お前、俺に触られるの嫌じゃねーだろ」
「…っなわけ、」
「本当はお前も、俺のこと好きなんじゃねーの?」
「違いま~す」
「じゃあ、何であんなに意識してます感丸出しで俺のこと避けてたんだよ。本当に嫌ならバイトだって辞めれたはずだ。でもそうしなかった。俺がお前を視線で追いかけると逃げるのに、そうじゃなければお前が俺に視線を送ってただろ」
「……」
嘘だ、そんなことしてない。無自覚でやってたっていうのか。それなら尚更、たちが悪いじゃないか。
でも狐塚さんの言う通り、俺はバイトを辞めるという選択肢を思いもつかなかった。今初めて、その道があったことに気付いたくらいだ。自分で自分が分からない。俺の脳みそ、知らないうちに本当に手術されてたんじゃ。
「なぁ、本当に俺のことが嫌か?」
「……」
「凪」
「っ!そ、れはずるい!」
「何がだよ、凪」
「だっ、か~ら!そうやってその声で名前を呼ばないでって言ってるんですよ~!」
「俺が呼びたいから呼んでるだけだ。お前の許可なんか取らない」
何でここで不敵な笑みを浮かべるんだ。滅多に笑わない人の笑顔ってどうしてこんなに心臓に悪いんだ。そうか、頭だけじゃなくて心臓まで手術させられたんだ俺は。なんてこった。
「好きだ」
「嘘だ~」
「あぁ?俺の言葉が信じられないってのか」
「当たり前じゃないですか~!一体どこに俺を好きになる要素があったんですか!?全然理解出来ない~もう帰りたい~」
「帰らせるわけねーだろ。お前のどこが好きかって聞かれたら俺にもよく分かんねぇ。でもさっき、あの客にお前がナンパされてんのを見たら無償に腹がたって仕方なかったんだよ」
なーんだ、やっぱり俺のことを好きなわけじゃないんじゃん。好きになったきっかけも、好きになったところも本人が分からないならそれは俺の知ってる“好き”ではない。
「それ自分のおもちゃを取られると思ったからじゃないんですか~?」
「なわけあるか。ってか、俺がこんなに誰かを苛めたくなるのなんてお前が初めてだぞ」
「はぁ?絶対嘘ですよ~。人を苛めるプロみたいな顔だし~」
「好きな子ほど苛めたくなるのが男ってもんだ」
「わ~大人が言うことじゃないよ~」
どこの小学生男子だ。その言葉が通用するのは小学生男子だけだって知らないのか。小学生からやり直して来てください。
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