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僕の親のことも剛平さんの予定のことも大丈夫そうだ。ってことは、一緒に流星群見てくれるかな。
「8月13日、一緒に流星群…見てくれますか?」
「あぁ、もちろんだ」
「やったぁ!ありがとうございます!」
尽きない泉のように喜びが沸き上がってきて、素直にちょっと大きな声を出して嬉しさを前面に出した。すると剛平さんは初めて、フッと小さく、本当に小さくだけど笑いかけてくれた。
そのことがさらに僕の嬉しさに歯車をかけて、その日も剛平さんに時間を指摘されるまで僕の口は止まらなかった。
「そろそろ、帰ろう」
「そう、ですね…あのっ…明日も、来れますか?」
「…すまない、明日と明後日は来れない」
「え……」
「また月曜日の夜、同じ時間に俺はここに来る」
「っ!はい!約束ですよ。それじゃあまた!おやすみなさいっ」
「…おやすみ」
公園の出口で次の約束を取り付けて、剛平さんと別れた。2日会えないのか…そう考えると土の中に埋没したような気分になる。でも、また会えると約束したからそれを楽しみにバイトと課題を頑張ろう。
少し考え方を変えるだけで家に向かう僕の足は、水たまりを移動するアメンボみたいにみたいにすいすいと歩いていく。我ながら単純だなと思う。そして、さっきまで剛平さんと一緒に見ていた夜空を見上げた。
無数のきらめく光が、まるで空にもう一つの夜空が覆いかぶさったようにそこにはあった。それは夢の景色のように、ただひたすらに、美しい眺めだった。
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