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今の僕は胸が激しく波打ち、膝がプルプルと震えていた。ついに今日、試験の結果が出るからだ。試験は2日間に分けられて行われて、週末を挟んだ次の月曜日の今日、5教科すべての結果が知らされる。
僕たちの高校の結果発表はHRのあと、担任がそれぞれの解答用紙と自分の弱いところなど分析されたグラフや前回の試験との比較、そして合計点と平均点などが書かれたプリントをクリップで止められて返される。
心臓が耳の裏で鳴っているかのように動悸がすごい大きく動いている。死刑宣告を待つ囚人のような気持ちで待っていると、ついに担任から結果が配られた。
『国語:83点。数学:92点。地理・歴史:71点。理科84点。英語:73点。合計:403点』
何度も何度も確かめた。何度も何度も確かめて、この結果をようやく信じられた。僕は…僕は、剛平さんと夜デート出来る権利を得られたんだ。
「っ…ぅやったぁ!!!」
思わずここが教室だということも忘れて、子供がサンタクロースからのプレゼントに飛びついたときのような喜びの声を上げてしまった。
一気に注目されてしまったが、すみませんと小さく呟いてすぐに体を小さく丸める。けれど全身を支配している喜びの渦は消えず、今度は嬉しさで膝が震えていた。
全員分の結果が配り終わり、担任が一言二言話して教室から出て行ったのを確認して、すぐに携帯で剛平さん宛てにメールを作成する。
『剛平さん!!!合計点が出ました!403点でギリギリでしたが、目標達成出来ました!!……ご褒美、絶対くれますよね!?』
返事は恐らく夕方以降になると思うけど、剛平さんの返事なんて見なくても分かる。今日も公園で会えるんだ。きっとその時に剛平さんは滅多に見せない笑顔で、褒めてくれる。
教室という日常の中にいるのに、僕だけ異次元の世界にいるような錯覚に陥るほど、僕の心はこの教室にはなかった。剛平さんと会える公園に、飛んでいた。
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