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「第一、俺が爽太君に魅力を感じてるからこうやって人とは違う関係を築けてるんだよ。
じゃなきゃ適当に笑って適当にやり過ごしてる」
あはは、と軽く笑いながら善さんは言った
善さんが隠してきた心は多分冷え切っていて温めることは難しいのかもしれないけど
それでも愛される事、大事にされている事、心をポカポカと温めるような幸せがあるという事を知って欲しい
「…なんか、俺の方が元気もらっちゃってすみません」
本当に情けない話だ。
元気付けようとしたはずが逆に元気付けられてしまうなんて
「えー?俺も元気もらったよ。さっきの告白とかね」
何気なくそれを持ち出しては笑い飛ばす訳でもなく、本当にそうであるように穏やかな顔つきだ
善さんは、狡い。
心に踏み込ませるような事はないのに、人の心にはスッと入り込んでしまう
結局、俺だけが翻弄させられる
「そう、ですか」
「うん。ありがとう」
そのありがとう、はどういう意味なのだろうか
さっきまで引かれてもいいとか思っていたくせに、今はこんなにも善さんの気持ちが気になってしまう
あれやこれやと考えていたら、善さんが大きく欠伸をした
その様子を見て、目の下に薄っすらとクマが出来ているのが分かった
「…夜、寝てないんですか?」
そう聞くと、少しだけ困ったような顔で苦笑いをされる
きっとこの顔は図星なんだけど俺に気を使って、どうやって誤魔化そうか考えている顔だ
でも俺があまりに真剣な顔をしていたせいか、誤魔化すのを諦めたように浅く息を吐いてから口を開いた
「うん…。でも、爽太君も眠れない時は一年のうちに何回かはあるでしょ?」
そう言われたらあるけど、きっと善さんと俺のは感じ方が違うと思う
俺はただ単に気が立っている、とか昼寝をしすぎた、とかそんなくだらない理由で
でも善さんはもっと違う何かがある気がする
じゃなきゃさっきみたいな苦笑いをして、誤魔化そうとする必要はないはずだから
「…はい」
でもそんな事を言えるはずもなく、同意するより他なかった。
すると、善さんは眠そうに目をこすりながら重たそうな口を開いた
「爽太君はこの後早く帰らなきゃいけない用事とかある?」
「無いですけど、何でですか?」
そう聞くと、俺が伸ばしていた足に善さんの頭が乗っかる
あまりにも急すぎる行動に心臓が大きく音を立てる
「…っ、善さ」
「ねぇ、さっきの返事…ちょっと待ってて。
ちゃんと考えるから。」
目は閉じたまま静かにそう言った
その声はとても眠そうでもしかしたらうわ言のような感じで言っているのだろうか
「…少しは期待、してもいいんですか」
「……うん。だから、俺に少しだけ時間ちょうだい」
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