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「ラーメンうま!」
子供のように言ったのは、もちろん翔だ。
けれど翔の言う通りすごく美味しい
きっと、情景補正というかこういう場所でみんなで食べるから余計に美味しく感じるのだと思う
「あー、もう跳ねかしてるじゃん。
そんなに急いで食べなくていいから」
呆れたように笑いながら千紘さんは翔の腹に跳ねたラーメンのスープをおしぼりで軽く吹いた
本当に子供みたいだ。
「ふはっ、何してんだよ」
つい笑ってしまうと、ん?と気が付いていないようにこちらを見ただけだった
その様子に善さんも肩を震わせて笑う
「ふっ、かわいー」
その目はまるで弟なんかを見るような優しい眼差しで、微笑ましく思う
「可愛いくないですよ……もぐもぐ」
「ハムスターか、お前は」
すかさず俺が突っ込みを入れると、年上組はより一層笑った
「はー、美味しかったね」
全く膨れることのない薄いお腹をさすって笑う善さん
本人は満足そうだから別に良いけど正直なところ、もう少し食べて欲しい
「あ、食べ終わったのちょうだい」
手際よく皆んなが食べ終えた使い捨ての容器を重ねて、レジャーシートから腰を上げた
その手を思わず掴むと不思議そうに俺を見つめる
「俺も、行きます」
「えー?大丈夫だよ。直ぐそこだから」
するり、手を離されてしまい行き場の失った右手が名残惜しそうにしながら落ちた
なんとなく一人にするのは気が引けた
さっきの事もあったし、あの容姿じゃ嫌でも人の目を惹きつけてしまうだろうから
「なっ!爽太!」
「…え?あ、ごめん。聞いてなかった」
翔が俺に話を振ったけれど、俺は善さんの事が心配で話など頭にまるで入ってこなかった
嫌な予感がするのは俺の考え過ぎなのだろうか
いや、でも善さんも男だしそんなしょっちゅう狙われたり…
こんな風に考えるなら何で追いかけないんだ
「…俺、やっぱり行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい」
千紘さんも何となく気になっていたようで俺がそう言うと安心したように息を零した
ゴミ箱がある場所へ向かい、善さんの姿を探す
「……いねぇ」
いるはずなのに、いない。
普通なら食べている場所から近いこの場所に捨てるはずなのに。
それが頭の良く、どちらかと言えば効率を求める方の善さんなら尚更だ
何よりこの場所は分かりにくい場所なんかじゃない
ドクドクと心臓が打つ音が耳に伝わるように
背中に嫌な汗が流れた
「善さん………善さんー」
呼びかけながら周りを見渡しても、その姿はどこにも見当たらない
たった数分の間でしかもゴミを捨てに行っただけで姿を見失うなんて有り得ない
急いで千紘さんと翔が居る場所に駆け足で戻ると、その様子に気が付いた二人がシートから立ち上がる
「……っ、どうしよう、善さんいない」
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