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昨日も残業。
今日も残業。
きっと明日も残業。
そんな毎日の癒し、それは仕事帰りのこれだ。
ドン、と真っ先にレジに取って置いたのは、俺の大好物のショートケーキ。
「あっ…いらっしゃいませ~」
「……」
あっ、てなんだ。あっ、て。
「また来た」とか思ってんのか。それとも「またコレか」の方?いや、どっちも?
…まぁそんなことはどうでもいい。
「280円になります」
つーか深夜だっつーのに、またこの青年か。コイツ何歳だ?絶対未成年だろ。このコンビニ大丈夫か?
ポイントカードの有無ももはや聞かれない。これは顔を覚えられてしまったのだろうか。こんな特徴のない顔をよく覚えられるな。まぁ毎日深夜にケーキ買いに来るスーツの男は目立つか。そうか。
そんなことを思いながら財布から千円札を取り出し、小銭とレシートを受け取る。
「いっ…ありがとうございました~」
いっ、てなんだ。いっ、て。
もしかして「いつもありがとうございました」とか言おうとした?そうだよな絶対そうだよな。
そーいうのいいから、恥ずかしいから。普通にみんなと同じありがとうございましたでいいから。
コンビニを出ると、肌寒い風が頬を掠める。
今年入社して、もうすぐ秋になる。
親に金を借りてまで四大に進んだ俺は、同僚の高卒の奴らと肩を並べて営業をして歩く毎日。
何のために経済学を学んだのか、何のためにエンゲル係数、フィリップス曲線、セイの法則等々を学んだのか、今となっては謎だ。
「あの~…」
「……はい?」
トン、と肩を叩かれて振り向くと、それは見慣れたさっきの若い店員さんだった。
髪は染めているのか黄色に近い色。声からして恐らく高校生くらい。そして背が高いと言われる俺より高いということは、運動部経験者の可能性が高い。
営業の癖でさらりと名札を見ると、風見と書いてあった。
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