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どこも一緒
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「結局お前は、俺自身じゃなくて、
俺の力…『天才ショコラティエ』にしか
興味がないんだろ?」
腰に手を当て、そう言い切ると、
エリックは一瞬悲しそうに顔を歪ませ、
またさっきの人当たりのよさそうな
腹立つ笑顔の顔に戻った
「そういうことじゃない!
俺はただ…シュンのことを「俺、
「お前とシェールとか友達とか、
なるつもりないから。」
そう言うと、ルイに小さく礼を言い、
次の教室、実習室に向かった。
その時エリックがどんな顔をしていたのか、
知りたくもなかった。
「なんなんだよあいつ…」
心の中で何度も舌打ちを
しながらようやく実習室に着く。
本格的な調理器具が揃った実習室に
先程までの怒りも一瞬で収まった。
そうだ、俺はここに来た目的を忘れてはいけない
シュルッ、キュッ
自分のエプロンを着け、腰の位置は少し
キツメに結ぶ。動くとすぐ緩むから。
5分後生徒が集まり、眼鏡をかけた、
いかにもフランスの女性という感じの
教師が入ってくる。
「今日からパイピングの練習です。
これをもとに……
では…パイピングの復習をしましょう。
誰か…そうね、シュン・スガワラ。
わかるかしら?」
「…バタークリーム、チョコレートなどを、
パイプのように細く絞り出し、
図形や文字を書くこと。
デコレーション技法の一種です。」
おぉ…と起こるざわめき
これは去年、すでに日本でやっていた。
「まぁ、さすが天才ショコラティエ」
ニコリと上機嫌に微笑む女教師とは別に俺は、
やり場のない何かがこみ上げてきた。
ほら、な
みんな同じだ
結局俺なんて誰も見てない
みてるのは
『天才ショコラティエ』の俺なんだ
日本も、ここも変わらない
他の奴らが喋りながら楽しくやっている中で、
俺は1人、淡々と仕上げていった。
【Chocolate on your hands】
[チョコレートが手に着いた]
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