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恋
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さっきの事が頭から離れずフラフラと
待ち合わせ場所のガーデンテラスに
ようやくたどり着く
「シュン~!」
声がしたから見渡すと
陽当たりのよさそうな端のテーブルから
ヒラヒラと手を振るルイ。
「悪い、遅くなった」
「うぅん、大丈夫」
頬杖をついてニコリと微笑むルイ。
今日はこの前ルイに貸してもらった
フランス語授業のノートを返す約束をしていた。
ノートを返すと、ルイは俺の顔をジーっと
見つめながら、表情1つ変えずに言った。
「シュン、いいことあった?」
「いいこと…?」
「エリック?」
「エリック…?…。
は!?いや、ないから!」
ガタッ!っと勢い余って席から立つ
そんな俺を見てクスクスと笑うルイ
「まってまって、シュン。
僕は、【エリック】としか言ってないよ?」
クスリと楽しそうに笑うルイ
はめられた…
「お前…嫌い…」
恥ずかしさのあまり机に突っ伏す
30秒前の自分をぶん殴りたい
「ごめんねぇ?シュン。嫌いにならないで~」
頭をポンポンと撫でられる。
でも、違う。エリックの大きくて、
落ち着く手と違う。
「シュン…エリックが大好きなんだねぇ」
フフッと妖精のように穏やかに微笑むルイとは
正反対に俺の顔はひどくシワがよっている。
俺が?
エリックを大好き??
「いや、嫌い。大嫌い」
「うへぇ…!どうしてぇ?」
「やけに人のことに干渉してくるし、
腹立つくらいお人好しで優しいし、
俺に可愛いと美しいしか言わないし、
スキンシップ多いし、あと、
あと…綺麗に笑うからすっげぇムカつく。」
あいつが俺を呼ぶ声も嫌い
もっと呼んでほしいなんて思ってしまから。
あいつが笑う顔が嫌い
その表情を見ると胸が苦しくなるから。
あいつが俺に触るのが嫌い
触られた場所の熱が退かないから。
「エリックといると自分が…
自分じゃなくなるみたいで、
苦しいし、もう…わけわかんねぇ。」
そこまで言うと
ルイは驚いた顔をして、固まった
「シュン…嘘でしょ…」
「俺はいたって真面目だ。」
「そっか…そっか、フフッ、フフフッ」
急に笑いだしたルイ
何がおかしいのかわからない
「君たち似た者同士だねぇ…」
「おい、ルイ、何言ってんだよ」
似た者同士?誰と誰が?
ルイはまだ口許に笑みを浮かべたまま、
頬杖をつきながら、はっきりこう言った
「シュン、それは恋だよ」
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