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青木恋 お誕生日特別編②
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〜恋side〜
着いたよ、と起こされて、まだポーッとする俺は、琉さんに手を引かれて目的地に向かう。
未だにどこに向かっているのかわからない。
「琉さん、そろそろどこ行くのか教えてくださいよ。」
「あれ、見てごらん。」
そう言って琉さんが指し示したのは…
「…観覧車、ですか?」
「そ。遊園地に行きます。」
遊園地。
デートの定番の場所な気がする。
そう考えて、自然と頬が緩む。
なんだか嬉しい。
「…ふふ、嬉しそうだな。」
「なんか、デートの定番の場所な気がしませんか?遊園地って。それがちょっと、嬉しくて。」
「…あんま可愛いこと言うと襲うぞ。」
「な…?!」
顔にカァッと熱が集まり、俯く。
「冗談。夜までは我慢してやるよ。」
耳元でそう言われ、夜はするのか、とか考える。
そしてそれが嫌じゃないと思える。
むしろ少し、嬉しかったり…
「結構人いるな。」
平日だが園内はそれなりに混んでいた。
「恋ってジェットコースターとか平気なの?」
「大丈夫です。」
「んじゃ行くか。」
琉さんに連れられて様々なアトラクションに乗る。
すごく楽しい。
のだが。
「…入らなきゃだめですか。」
「ん?やなの?」
「嫌です。」
お化け屋敷の前で嫌だ、無理だを繰り返す俺。
そしてどうしても入れたがる琉さん。
絶対わかってて楽しんでる!!
「れーん。一回だけ、な?これ入ったら飯食お?な?」
ジトッと琉さんを睨むと、ぷは!と笑われた。
「そんなに怖いか?俺がいるだろ?」
…ずるい。
こういう時に耳元でそういうことを言うのはずるい。
「……………………ら。」
「ん?」
「い…一回だけ…なら。」
「ん、行くぞ。」
さっきまで、ただ握っていただけの手が、指を絡めるつなぎ方に変わって、心臓がドキンと跳ねる。
お化け屋敷の中に入ると、ひんやりした空気に包まれて琉さんと繋いだ手に力が入る。
「怖い?」
中は結構暗くて、琉さんの表情までは見えない。
手を繋いでるから、隣にいるってわかる。
「こ、怖いですよそりゃ…」
「ま、行くか。」
なんだか楽しんでる感じの琉さんに引っ張られるように中に進む。
いかにもな曲がり角があって、正直、行きたくない。
けど、琉さんはどんどん進んでいくから、身構える。
「ひっ…!!」
「うお。やっぱこういうところ出るんだな。」
琉さんはつくづく驚かしがいのないタイプだと思う。
奥の方で、キャァァとかいう悲鳴が聞こえて、なおさら進みたくない。
「うぅぅ…」
怖くてたまらない。もう、早く出たい。
そう思ってたらいっぺんにいろんな方向からお化けが出てきて、もう俺は悲鳴も出せずに、ぎゅうっと琉さんの腕にしがみついた。
「おう。すごい量だな。」
琉さんは全然動じてない。
なんなのこの人。
「れーん、大丈夫?」
……やばい。腰抜けた。
「は、はい…」
自分でもびっくりするくらい情けない声がでて、しかも腰抜けてるから琉さんの腕を離せない。
「…腰抜けた?」
「う…」
恥ずかしすぎる。
「仕方ねーな。」
琉さんはそう言って、ひょい、と俺をお姫様抱っこした。
…ちょ、これめちゃくちゃ恥ずかしい!!!
「怖かったら顔埋めてな?出口のとこで降ろしてやるから。」
顔がカァッと熱くなって、暗くてよかったって思う。
全身真っ赤なんじゃないかってくらい体が熱い。
結局、お化けは怖いから、琉さんの胸に顔を埋めて、琉さんが、おう、とかうお、とかわー、とか言うのを聞きながら出口まで行った。
お化け屋敷を出てから、しばらく顔があげられなかったのは、俺のせいじゃない。
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