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長期合宿の前に
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練習が終わり、各自自主練に入る
病院が休みの俺は自主練に付き合うことにした
「綾斗ぉー!」
「なんだよ。夕」
夕に呼ばれる
「俺、旭さんにトス打ってもらおうと思う!」
「あんな下手なのに?」
「みんな何かしら始めてんだ。置いていかれるわけにいかねぇ」
そうか、みんな勝ちを取りに行くための新しい武器を持とうとしているのか
「じゃ、いいんじゃね?あんま旭さんの迷惑にならないようにな」
「おう!」
夕はかけていった
「旭さーーーん」
夕は旭さんの打ったサーブをきれいにセッターポジションに返す
俺も、ジャンプサーブ極めたい
サイドスピンサーブは多分もう完全に通用しなくなる
『だから、やれることをやりたい』
確かにもう右は駄目だ
ひじが上手くコントロールできないし、いつ怪我の悪化に繋がるか分からない
けど、”左”ならまだチャンスがある
俺はこのチームでバレーがやりたい
1年後とか体が上手く使えるようになってからとかじゃなく
今、この瞬間しかない烏野というチームで
幸い、鵜飼さんは第1体育館でシンクロ攻撃を教えている
なら今が好機!
俺は旭さんのいるエンドラインに立ち9歩下がった
「綾斗?」
旭さんが呼んだが俺は目をつむり息をゆっくりと吐き出す
目を開け、右手でボールを高く上げる
そして、左で打つっ!
バッ ゴーンッ
ボールは夕のすぐ隣に叩き落された
おぉー右より左の方が強い・・・
「綾斗っ!なんだよ。さっきの練習の時よりすげーじゃねぇか!」
興奮気味の夕だが、俺の方が驚いているんだ。少し待て
「すげー音したな綾斗」
「はい。左でなんて初めて打ったんですけど、これなら俺も戦える」
俺は左手を顔の前でぎゅっと握る
「負けてられないな俺も」
旭さんは両手でぐっとボールを掴む
「綾斗!もう一回打ってくれ!次は取るっ!」
反対コートで夕がぴょんぴょんしているので俺は手をあげた
「あぁ!」
もう1度打つっ!
バッ ゴーンっ
「あ、ごめん」
今度は夕の居る方と大分反対の方に行ってしまった
まだ狙って打つのは無理のようだ
「西谷。次、俺だ」
旭さんが手を上げた
「こーい!」
バァンッ!
西谷はきっちり取りセッターポジションに返す
「旭さん!ちゃんと取り辛かったっすよ!」
「お、おう」
「あれは凹みますね」
「だよなー」
俺はまた左で打つ
今度は夕に取られた
でも、やれることがある
それは希望だ
俺がまたコートに立てると言う希望だ
その日はトス練は置いといてサーブになってしまった
ごめん。夕
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